「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ペルー編2

2000.4.28(金)

 昨日、あれだけ眠っただけあって、早くに目が覚めた。新聞片手に朝食を食べる。朝、こんなにのんびりしたのは久しぶりだった。

 荷物をまとめてバス会社に預け、そのままワンチャコ海岸行きのコレクティーボに乗りこむ。運転手にチャンチャンで降ろしてくれと頼むと土漠が広がる真ん中辺りで車は停まった。辺りを見回すと「チャンチャン遺跡」と書いた大きな看板があり、土漠に向って矢印が書いてあった。矢印のある方へ歩きだす。土漠に砂利道が敷いてあり左右に白い石が敷いてあった。白い煙をもうもうと上げたタクシーがたまに行き来している。白い石の外側には、アドベレンがでできた城壁や建物らしき遺跡がどこまでも広がっていた。そんな広大な遺跡の中を数人の技師達が測量をしている。途方もない仕事をしているなぁと感心する。

 そんな砂利道を20分ほど歩いた所に、土色の新しい建物を発見。チャンチャン遺跡のインフォメーションセンターらしい。中に入るとガイドがすーっと寄ってきた。「あなた達、チケット持ってる?」「ない」と答えると「あなた達、学生?証明書持ってる?」とチケットブースへ連れて行ってくれた。学生証を見せると半額になった。うめちんは25才カードを見せ、学生だと言張ったら半額になった。このチケットは、2日有効で3つの遺跡と博物館が見れるらしい。

 「ガイド要らない?安くしておくわよ」といわれるが「スペイン語分からないから」と言うと「英語もいけるわよ、どう」としつこく迫ってくる。「英語も分からないから・・・」と言うとあきらめたようだった。

 土で出来た立派な城壁に1箇所だけ隙間が開いている。そこから城壁をくぐると、またもや土色の壁が現われた。矢印の方向へ進むとぐるっと土色の城壁に囲まれた広場にでた。城壁も綺麗に装飾されてる。何か儀式に使われた場所らしい。広場を出ると、またもや装飾に飾られた城壁に日本で言う土蔵のようななめこ壁が現われた。この時代の装飾はデザインセンスがすばらしく、可愛いものが多いと思った。それによくこれほどまでに今まで残っていたものだと感心するばかり。単調なアドベの土色なのに見ていて飽きない。実に面白い遺跡だと思った。

 博物館にも足を伸ばす。チャンチャン遺跡からの出土品が多数並んでいた。驚いた事にこのチャンチャン遺跡はユネスコ指定の世界遺産の内、自然遺産と歴史的遺産の2つに指定されていることを初めて知った。なんだ、すごい遺跡なんだ・・・見てきてよかったなぁ。

 遺跡を後にし、再びワンチャコ海岸へ。シーフード料理を食べて、海岸をぶらつく。エクアドルは、今、危険なんだって。なんかぶら下ってるピアスしてるとピアス引っ張って取られて耳ちぎれた人いるんだってと、ピアスを買ってもらい、エクアドルってバス強盗とか強盗多いんだって、で、少しでもお金持ってないと殺されちゃうかもしれないってよと皮の財布を買ってもらった。でも、どっちも本当にあったことなので嘘ではない。用心に越したことはないのだ。

 バス出発1時間前。トイレから帰って来ると、オヤジが声を掛けて来た。「今、トイレ使ったよね。お金払ってよ」「・・・いくら?」「5ソル!!」はぁ?話しにならないほど高い。第一、私の前に入ってた人からお金取ってないじゃない。うめちんもトイレ使ったのに言われてない。なんで私だけさ!!と無視を決め込む。でも、しつこく追いかけてくる。

 そうこうしている内に荷物をバスに積み込む時間がやってきた。どうも、ここのバス会社の人達は、せっかちが多いらしくもたもたバックパックを運んでいたら早くしろと怒られた。そして、荷物タグを付けるのにチケットが必要らしくチケットを出せと言う。もたもたしていたら、またもや怒られた。そして、早くバスに乗れと急かす。

 バスに乗ろうとチケットの席番を見ようとチケットを出してとうめちんに催促すると「え、持ってないよ」「・・・さっき、荷物預けたお兄さんからもらったでしょ。どこにしまったのさ?」とあちこち探し回る。でも、出てこない。焦る私達。急かすバス会社。荷物を預けたお兄さんに聞いても、うめちんに渡したと言うばかり。どうしよう、困った。

 と、その時、先ほどのトイレ5ソルのオヤジが「早くバスに乗りなよ」と声を掛けて来た。「だって、チケットがなくなっちゃって・・・」「んん?ボクが持ってるよ。ささ早くバス乗って」「・・・なんで??」なんで、あんたが持ってんのよ!!と突っ込みを入れると「だって、僕チケット切りだもん」唖然。たぶん、荷物を預けたときにチケットをだして、一旦うめちんの手に戻って来たのだが、急かされる内にいつのまにかそのオヤジに渡していたのだろうと推測される。まったく記憶にないうめちん。とんだ騒動である。

 でも、無事にバスに乗れたのでよしとしよう。それから、チケット切りのオヤジはしつこく私の廻りをうろつき「どこに行くんだ?トゥンベス。ああ、エクアドルに行くのかぁ」「どこから来たんだ?チノ?嘘だろ。僕、知ってるよ、日本人だって」「なあ、日本の映画見るか?ン、日本のビデオあるんだよなぁ。今、変えて来るから」などなど、出発するまで永遠にしゃべっていた。

 そして「セニョリータ、さっきトイレ使った5ソル払ってよ」しつこいんだってば!!こんなのとトゥンベスまでいっしょだとは・・・嫌だ!!と本気で思ったが、しばらく走るといつのまにか居なくなっていた。ホッとする。一体、なんだったんだろう?

 人がせっかちならバスはもっとせっかちにものすごいスピードで走る。途中乗車の人の集金もすぐやってくる。降りる人は、早めに言わないと怒られる。そして、まだ時間も早いと言うのに車中は真っ暗。本も読ませてくれない。途中、夕食だと立ち寄ったレストランでは、バス会社のやつらが食べ終わったと同時に「行くぞー」の掛け声。おちおちご飯も食べていられない。せっかちだ。闇、星、土砂漠、そしてせっかちなバスにスティーブンセガールの日本びいき映画・・・寝るしかなかった。

 
2000.4.27(木)