「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
||
k日記ペルー編 2000.3.14(水) 朝早く、ウルバンバ行きのバスに乗り、ウルバンバからオリャンタイタンボ行きのバスに乗り継ぎ、マチュピチュ行きの列車に飛び乗る。10時ちょっと過ぎくらいにローカル列車がゆっくりと駅に入ってきた。席が決まってるにもかかわらず我先にと荷物を積め込み自分もウンセと乗り込むインディヘナのオバチャン達にまぎれて私達も列車に乗り込む。席を探すと案の定私達の席にはたくさんの人が座っていた。「ここ、私達の席だよ」と肩を叩くが知らぬ存ぜぬを貫きとおすオバチャン達。終いには、あっちが開いてるからあっちに座ればイイと抜かす。「チケット持ってないあんたが動けばいいだろ」と強く出るとしぶしぶ荷物を持って移動していった。おかしな人達だと思った。 列車は、ゆっくりとオリャンタイタンボ駅を出発。徐々に速度を上げて行く。そして、轟々と茶色の水が流れるウルバンバ川のすぐ真横を険しい山間を快適に走る。ガッコンと何もないところで停まったかと思ったら、これが駅だと言う。そういえば、短い停車時間で人が降りたり乗ったりしていた。列車の中はいつのまにか荷物と人で通路も座席も満杯になっていた。 104km駅で降りるつもりでのんびり待っていると「ココだ」と前に座っていたオジさんが教えてくれた。荷物を飛び越え人を掻き分けやっとこ出口で向い無事降りることが出来た所は、川がもうすぐそこのヘリのところだった。駅と言っても何もないのは先ほど話したが、ここは、一人歩くのがやっとの道が線路の脇にあるだけの飛びきり辺鄙なところだった。小さな看板が見え、轟々と流れる川にかかる吊橋に向って外人の長蛇の列が出来ていた。どうやら、ココがインカ道104kmの入り口らしい。列に並び吊橋の入り口で高いインカ道のトレイル2日券代とマチュピチュの入場料を払い橋を渡る。「ねえ、このトレイルマチュピチュまで何時間?」と聞くと「7時間」とあっさり答えた。ええ、7時間もかかるの?だって、今12時30分だから・・・ええ、7時半過ぎにマチュピチュ・・・暗くなったらあるけないよ・・・でも、テントも何も持ってきてないし・・・それより、もうお金がないから途中でレフギオで泊まることだって出来ないよ・・・どうする?パイネの教訓をすっかり忘れてしまっていた二人がそこにいた。だから、もう少しお金持ってくればよかったんだよぉとか文句を言っても始まらないので気合を入れてこのトレイルを歩ききるしかない。ものも言わず出発。 歩き始めて5分。まだ、走る余裕があった。10分経過。陽射しがザンザンと降り注ぎ顔が熱い。そのせいか妙に体力の消耗を感じる。15分経過。どんどん山道を登るにつれて空気の薄さを実感する。息使い激しく、息ぐるしい。30分経過。km107地点の遺跡が遥かふもとの方にちょこんと見える。ミニピチュみたいだなぁなどと言いながら休む口実を作りへたり込む。対面の山を見ると段々畑の遺跡が見える。50分経過。大きな滝が現われる。水飛沫が三々五々飛び散り、辺りの緑に降り注ぎ水々しく綺麗だ。1時間30分経過。先ほど見えた段々畑にたどり着く。ココで大休止。バックの中を探るとお菓子が出てきたので3人で少しずつ食べる。そよ吹く風に雲が流れ、強い陽射しが山々を照らすごとに緑が変化する。綺麗だ。 「あとどのくらいでマチュピチュに着きますか」と近くで休んでいた外人さんに尋ねてみる。「ココまで何時間かかった?」「うーん1時間30分くらいかな」「そうか。君達だったら、あと2時間くらいで着くんじゃないかぁ」「・・・2時間?ホント?」「ああ、ほんとだ」・・・なんだって、じゃあ、このトレイルは4時間くらいの行程ってこと?じゃあ、入り口で聞いた7時間ってのは何だったんだ?一心不乱に歩いて来た私達は一体なに?肩から一気に力が抜けていくのを感じた。 それから、坂道を走るように歩く。途中、酸欠気味で、胃痛腹痛に見まわれる。苦しく痛いが、歩くのを止めるわけにはいかないので歩き続ける。 トレイルの入り口から歩き始めて2時間30分経過。傾斜45度はあろうきつい階段を登りきると遥か向こうにぽつんと険しくそそり立つワイナピチュと、そのたもとに小さなマチュピチュを発見。正直「なあんだ、マチュピチュってそんなに大きくないんだぁ」がはじめての印象だった。胃痛腹痛に悩まされていたから、余計感動が薄かったのかも知れない。しばらく、向こうに小さく見えるマチュピチュを眺めながら小休止。 そして、マチュピチュに向けてトレイルを下り、途中、リャマの道ふさぎにもめげず、マチュピチュに到着。約4時間で着いてしまった。先ほどは小さく見えたマチュピチュだが、目の前まで来るとすごく大きく見える。ワイナピチュも更に険しく見えた。 さらに下りていくと、マチュピチュがよく見える大きな岩盤があり、そこで寝そべる日本人発見。しばらく話しをしながら夕陽に映えるマチュピチュを堪能。そして、彼にお金が足りない事情を話すと快くお金を貸してくれた。そのとき、彼から神様のように後光が差していた。 閉館の時間が迫る。係員に急き立てられるように出口へ向う。お金を貸してくれた彼と温泉で再開を約束して、バスを使わず歩いて山を降りる。 轟々と荒れ狂う川を横目に見ながら橋を渡り、川沿いの道を歩くと遠く日本の古びた温泉街のような風景が見えてくる。そこで、今日の宿を探すことに。町に入ると客引きがやってきて難無く宿決定。すぐさま温泉に向う。入り口で入場料を払い、山を登る。所々にオレンジ灯がぼわっと輝き情緒をさそう。ますます温泉街って感じだ。橋を渡り、更に登るとコウコウと明るい光が差した門が遠くに見えた。 早速、水着に着替え、温泉に向う。明かりはほとんどなく暗い。露天風呂形式で、水風呂、打たせ湯、プールがあり、どれもこれも深いものばかりだが、熱くもなくぬるくもないお湯だった。一番深い温泉に入ると隣にお金を貸してくれた彼がいた。無事再開。一番熱いと思われる温泉に移り話し込むうめちんと彼。その脇で、グッパイボーイと水掛ゴッコにいそしむそのちんと私。最後には、でっぷりオバチャンに怒られる始末。おとなしく入浴。いい加減のぼせてきたので、ご飯を食べに温泉を出る。なかなかイイ湯だったが、たぶん昼間は入る気しないんだろうなぁ・・・だって、お湯がしょっぱく匂いもちょっと変だったしねぇ・・・でも、今日の疲れはチョコッと取れたかな? |
2000.3.13(火) |