「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ペルー編

2000.2.26(土)

 チバイと言う所にも温泉があるらしいというので、昼頃出発のバスに乗りこむ。日帰りは出来ないらしいので、荷物を担いでの出発。

 やっぱり定時になっても出発しなかった。ボコン、ボコンと何処かを叩く奇妙な音がするばかり。ようやく出発したが、途中のガソリンスタンドでまたも1時停止。そして、ボコン、ボコンと奇妙な音が鳴り響くばかり・・・

 やっとこ出発したが、スピードはそこそこしか出ない。その内、険しい断崖絶壁の凸凹道に差しかかる。折りしも、外は、深い霧に包まれ寸分先は、何も見えない状態。崖側には、なぜが、タイヤの後がくっきりと残り、至るところに十字架やケルンが建ててある。そんなことはお構いなしに、バスはがたがた言いながらのろのろと坂を登って行く。何処までも、何処までも登って行く。次第に息が苦しく、動悸息切れ、吐き気に襲われる。うめちんも頭痛がしてしょうがないと言う。相当、標高が高いらしい。いっしょにバスに乗ったイタリア人のガイドブックに「チバイへは、標高4000から5000m程度の山越えがあり、十分に注意が必要である」と書いてある。ただいま3500mくらいだろうか?高山病にかかったようだ。登りに登って平地に出ると、草と土だけの土漠が広がっていてリャマが悠々と草を食むっていた。そして、道路の隣に線路が見えた。フリアカ行きの高山列車らしい。こんなところ走るのかぁ、ペルー人は、よくこんなところにレール引いたもんだと感心してしまった。

 バスは、更に高度を稼ぐ。雨季のためか道路の脇ちょが川のようになっている。道路も凸凹の悪路で、なかなか先に進まないがどんどん坂を登って行く。そして、辺りは、雪景色へと変化して行った。何処までも続く真っ白な大地。そして、霧の向こうには雄大な雪山が聳え立つ。行きつくところまで行ってしまったようだ。そして、やっとこ降りに差しかかる。ある程度、坂を下ると、雪はぱったりなくなり変わって今度は霧が立ち込める。そして、深い渓谷を横目に見ながらきついヘアピンカーブを下っていく。霧の向こうには直立に聳え立つ青い山々の連なりがかいまみえる。幻想的かつ雄大な世界が展開される。ほーとかへーとか言うため息が漏れるばかりであった。

 チバイの中央広場に着いた時には、雨がしとしと降っていた。辺りも闇に覆われようとしている。バスを降りると早速客引きがやってくる。荷物を受け取らぬ内から手を引いて宿を見に行こうと言う。ちょっと、待ってよと言うが、あまり聞こえないらしい。営業熱心な客引きに捕まり程なく宿を決定。一息着くまもなく、今度は、ペーニャ(フォルクローレを聞かせてくれるところ)へ行かないかと熱心な勧誘。そして、明日の朝ご飯は、どうするだとか、カニョン・デル・コルカへのツアーの斡旋までありとあらゆる勧誘をしかけてくる。営業熱心なのねぇと感心したが、体よくみんな断ってしまった。その後も彼には何回かあったが、やはり営業熱心であった。

 広場の横にたくさんの露天が並んでいた。やっぱり、安いご飯に限ると、全部覗いて、クルクルよく働いていたお姉さんの所で食べることにする。長径18cm短径12cmくらいの楕円皿にごはん、ちょうめん、サラダ、ポテトフライそして大きな鳥のから揚げか大きな鳥のスパイス煮がついて1皿3ソルとは、安い。しかも、皿からはみ出すほどのボリュームには驚いた。もう、入らないほどお腹が脹れた。

 インディヘナの派手な衣装をまとったオバちゃん達が、似たような小さな屋台を並べていた。屋台には、たくさんのビンと草が入った釜が置いてあり、ビンは皆違うものが入っていて、釜はぐつぐつと煮立っていた。0.5センティーモ(約1.5円位)を払うと小さいビールグラスにレモンや蜂蜜、その他ビンから少しずつジョーっと注いで最後に釜の薬草湯をなみなみ注いで、さあ飲めと渡される。おいしいんか?これと半信半疑で1口すすると!!!おいしいー!!!びっくり仰天、甘さを押さえた蜂蜜レモンの味がした。コレハイケルヨオバちゃんと誉めるとニコっと笑って「もういっぱい飲んでよ」と商売、商売。二人で1杯で十分な量だったので「いえ、もう結構です」と丁寧にお断りすると「明日もいらっしゃい」とやっぱり商売、商売。

 何処からともなく炭火焼のイイ匂いがすると思ったら、暗闇でボーっと赤く光っている台を発見。近づくと、インディヘナ衣装のオバちゃんが櫛刺し肉を焼いていた。とてもイイ匂いがするので、一体何の肉ですか?と尋ねると「アルパカよ」へええ、アルパカですかぁ、一本いくら?と聞くと、隣に座ってたオジさんが0.5センティーモと言い、当の販売人のオバちゃん曰く1ソルと。すると、オバちゃんはオジちゃんをギロリとにらみ何事か早口でしゃべって、私達の方に向き直り再び1ソルと答えた。くっくっくと笑いながら「オジちゃんが0.5センティーモって言ったけど」と突っつくと「知らないわ、1ソルよ」と引かない。笑いが止まらない。でも、1歩も引かないので、また後で来ると言ってその場を去った。そして、数分後、串焼き屋に顔をだした時には1本0.5センティーモで売ってくれた。「どう?おいしい?」うんうんおいしいねと答えると「じゃあ、もう一本買ってよ」とやっぱり商売、商売。ちょっと、カクーンと肩が落ちてしまったが、なんとも笑える話だった。

 満腹、満足で今日も1日が終わりを告げる。ペルーに来てちょっと太ったかな?

 
2000.2.25(金)