「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ペルー編

2000.2.24(木)

 ユーラと言う温泉があるとガイドブックが言うので言ってみようと宿を出る。朝ご飯を軽く済ませ、ユーラ行きのバスを探す。売店の店員や銃を片手に持った警備のオジさんなどに聞いて歩くが一向にバスは現われない。やっと見つけた発着所は、ホテルの裏手の狭い路地でわかりづらいところにあった。フロントガラスにユーラ〜アレキパと大きく書いてあるマイクロバスに乗りこみ、出発を待つ。なかなか出発しなかったので、ジュースを買いに行くとバスを降りるうめちん。そして、タイミング悪く運転手が帰って来る。調子よくエンジンを掛け今にも出発するらしい。助手のおばさんが「彼は、何処に行ったの、待ってられないわよ」と私に向って怒鳴る。でも、帰ってこないうめちん。仕方がないのでバスを降りて探しに向うと、向こうからジュースを持ってるんるんでやってくるうめちんを発見。急いで、手を取りバスに向って走る。寸での所で飛び乗りセーフ。ふーーー

 何もない土砂漠を走る。街を1歩出るとこんな風景に変わってしまう。道も所々未舗装でやはり標高が高い所を平気で越える。そして、狭い崖道に雨季の霧が手伝って相当、恐いものになっている。そんな道を1時間ほど走ると、小さな家がぽつぽつと見えてくる。そして、ここだと降ろされた所は、何の変哲もない道端だった。ただ、目の前に教会がありその横に、ツーリストホテルがヒッソリ建っていた。温泉って・・とホケーと立ってると、黒いビニール袋を下げたオジさん、オバさんがホテルの方からやってきて、呆けてる私達を発見。あまりの呆け具合に見るに見かねたのか「どうしたの?」と声を掛けてきた。「いや・・・温泉に来たんだけど・・・」と言うと親切にいろいろ教えてくれた。どうやらここには3つの温泉があって、1つはこのホテルにある。後の2つは、もっと坂を下ったところにあるらしい。一番イイのは、このホテルで、ツーリスタもたくさん来るとのこと。ありがたく、情報を受け取って、3つの温泉を見てみることに。

 ホテルからちょっと坂を下ったところにバスが停まる広めの路肩とお決まりの露店が数件並んだ所があった。そこに頭にタオルそして大きなビニール袋を持った数人の人がたむろっていた。その人達に何処にあるのか聞くと、みんなで下だ、下、階段を降って行くとあると答えてくれた。狭い石の階段を降りるとイスラムのモスクのような白と青の小さな建物がぽつんと建っていた。入り口にオジさんが立っていて3.5ソル(約150円位)だと言う。ちょっと中を見せてもらって入るか検討することに。鉄の格子ドアを開けるとゆるい太陽光が注ぎこむ薄暗い空間からはしゃぎ声が聞こえて来る。その空間の真ん中に浴槽、いやプールらしきものがあり、その廻りに小さな個室が配置されていた。水は、白く濁り、水着を着た老若男女が泳いだりもぐったりと遊んでいた。・・・なんか、温泉じゃないよコレハ・・・とお湯を触って見るとぬるったい。こんなのに入ったら風邪を引いてしまう、しかもゆっくり入れないじゃないですかとそそくさと退散。次に期待することに。

 露店から更に坂を下ったところに何かの工場があってその脇に小さな入り口があった。これかな・・・と覗いて見ると中からお兄さんが手招きしていた。

 先ほどの温泉より少し小さめの浴槽が2つあり、どちらも手を突っ込んで見たが先ほどよりちょっと暖かいカナ?といった感じ。そして、みんな浮き輪を持って遊んでいたりと言うのは同じで、ここも期待ハズレ。ガックシ。

 ここがダメだったらあきらめてプールに入るか・・・と思いつつ、一番上にあったホテルの温泉に行って見ることに。階段を降りて行くと白い小さな建物が建っていた。覗くと、オジさんが窓越しに新聞を読んでいた。頼んで中を見せてもらうと、畳1.5畳程度のプールが4つマスに並んでいて、下が空けるほどの透明なお湯が入っていた。人もそんなに多くなく遊ぶというよりは、漬かるといった感じで入浴していた。効能表もちゃんとあり、湯温32〜35度、硫黄泉で、目や神経痛、間接の傷みにイイらしい。こ、これぞ冷泉だよ。ここに入ろうと即決め。入り口に戻って、1人5ペソ(約150円位)を払って入浴。始め、脱衣場の一番近くの浴槽に入ってみたが、どうも寒さの方が先に来てつかっていられない。すると、対面で入っていたオジさんがこっちの方が暖かいからこっちにおいでと言うので行って見ることに。なるほど、これだったら多少暖かいカナって感じがした。おじさん曰く、プールによって湯温も違く、効能も違うとのこと。それとここは、他と違ってイイ温泉だよと言っていた。おかげで、ゆっくりのんびり入浴でき、プールを出ても寒さが身にしみなかった。ただ、骨皮筋衛門のうめちんは、こんな寒い温泉2度と来るかぁと一番暖かいプールに入って叫んでいた。しかも、あんなに入っていたにもかかわらず、プールから出た途端、鳥皮筋衛門のようになっていた。どうしてこうも違うものかと思ってしまった。

 温泉ってイイなァ・・・満足顔で外に出ると雨が降っていた。人の幸せに降り注ぐ雨。バスがやってきたときには、相当雨脚も強くなっていた。アレキパの街についた時には、少し小ぶりにはなっていたものの、体のホカホカは、消え去っていた。しかも、サンダルで出てきた二人には宿まで歩く間に足が真っ黒に変化していた。ああ、せっかく温まった体が、ああ、足も綺麗に洗ってきたのに・・・。心にひゅ−っと冷たい風が吹く。そんな時、目の前に3ペソ定食屋が現われる。心にともし火が少し着いて、目の前に暖かいスープと鳥の丸焼きがどーんと出てきたら、一気に心のともし火が燃え上がった。ああ、幸せな一時。寒さも一気に吹き飛んで行ったのであった。

 
2000.2.23(水)