「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ニカラグア編

99.12.15(水)

 首や肩、背中の軋みで目が覚めたときには辺りはもう明るくなっていた。バスが停車していたのでついたのかと思ったが、どう見ても街ではなく道端に見えた。トイレ休憩かと思ったが、一向に出発する気配がない。タイヤがパンクして今直してるところだと外から帰ってきたうめちんが笑いながら教えてくれた。やっとこ出発した時にはすでにもう到着している時間になっていた。

 朝日をいっぱいに浴びて、大きな穴だらけの道をおんぼろバスは走る。朝露に輝く緑の熱帯雨林をとろとろ進んで行く。 ラマについた時には、心身ともに疲れ果てていた。バスを降りたときには、うめちんの財布がポケットから消えていた。バス中をくまなく探すがとうとううめちんの財布は出てこなかったのである。

 困ったことにクレジットカードが入っていたので急いで国際電話をかけカード停止を済ませ、言っても出てきはしないと思うが警察署に向う。事情聴取を受け、警官と一緒にバスに戻って現場聴取までしていた。「すまん、我々は君を助けることが出来ない」と警官に言われたので、紛失証明をもらって警察を後にする。

  朝から何も食べていないので、いかんせん力が出ない。荷物を担いで歩くのがきつい。何か食べようと思ったが、ブルーフィールズへのボートが出ると言うので、飲み物とクッキーを買って15人乗りのボートに乗りこむ。ライフジャケットを首から下げ、するする出発。

 左右の岸は、緑深い熱帯のジャングル、川幅がかなりある。鏡のような水面を凄い勢いで走っていく。さながらジャングルクルーズのようだ。わいわいキャッキャと子供のようにはしゃいでいるといきなりスピードを落として川の真ん中に止まった。もしかして追剥ぎか?と思いきや黒いビニールのシートを持ち出し、ボートの真ん中から左右に開き荷物もろとも私達をすっぽり包んでしまったのである。

 これはもしかして雨よけ・・・と思った瞬間またも凄いスピードで走り出す。一番前に座っていた私達は、迫ってくるビニールを押さえるのに必死になった。しばらく走るとバケツをひっくり返したような雨が襲ってきた。最前列は必死である。手で押さえなければビニールをまともにくらい窒息してしまう。しかもビニールは穴だらけで足元に雨が降ってくる始末。

 風で波が出来、はねるボートに、尻うち背中うち手と首は筋肉痛でブルーフィールズに到着。ぼろぼろの体に鞭打ち重い荷物を背負い歩き出してズル!!漫画ではないがバナナの皮に足を取られてこける。片手と片膝をついたところで危うく止まったが荷物が重くて動けない。 

 近くで見ていたお兄さんが荷物を持ち上げて助けてくれてようやく立ちあがれた。幸い、膝にかすり傷程度で難を逃れた。と思ったら、目の前でうめちんが片足をどぶに突っ込んで転がっていたが、自力で這い上がっていた。危ない危ないと気を引き締めることに。

 そんなこんなで、二人でぼろぼろ。宿を探してさまよい歩くが、追い討ちをかけるように何処も満員と断られ、途方にくれる。やっと宿を見つけた時は、太った宿のオヤジが天使に見えた。今日は、ありとあらゆる災難がやって来た散々な一日であった。

 
99.12.14(火)