「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記インド編

2001.5.25(金)

 飛行機が好きな、お父さんとうめちんは、炎天下の中、航空博物館に出かけていった。「ホテルにいても気が滅入るだけ」と母さんも体調が芳しくないにもかかわらず、うめちんたちについていった。外に出ると体が思うようにならなくなる私は、ホテルでテレビを見ながら横になっていることにした。

 クーラーの効いた涼しい部屋でディスカバりーチャンネルを見ながらぼーっとしていると、「アチーーー」真っ赤になった焼きイカがチンチンにお湯になったミネラルウォーターを持って帰ってきた。突然、服を脱ぎシャワーに駆け込む。外の暑さが伺える。そして、ベットに延びたまま、寝てしまった。

 プルルルル・・・部屋の電話が鳴った。「夕飯、食べに行こうよ」お父さんの誘いだった。ここのホテルでご飯食べるのも飽きたなぁ・・・そんな声に外へ出かける事にした。そして向かった先は・・・デリーインターコンチネンタルホテル。サンダルで入るのを拒まれるのでは?と思うような門構えに圧倒されるうめちんと私。吹き抜けのロビーにかかる大きなシャンデリアや、床や壁の大理石の輝きに目をやられるかと思うほどきらびやかさ・・・本当にこんなところでご飯食べちゃっていいの?いいの?本当にいいの?何度も何度もお父さん達に訪ねる。「たまにはいいだろ?そう、何度も聞くな」あきれるお父さんの横で、笑いをかみしめるお母さん。とりあえず、みんなでロビーの真ん中に立って様子を伺う。

 インターコンチには、インド料理と中華料理、アメリカンステーキハウス、コンチネンタル料理、それに宮廷タイ料理といろいろなレストランがあった。どれにする?そうだなぁ・・・コンチネンタルとアメリカンステーキはどこでも食べられるし、中華も日本の方がおいしいよ。高級インド料理も食べてみたいなぁ。タイ料理もちょっと変わっていいかも。ふと、レストラン案内を見るとタイ料理レストランは28階、インド料理は3階とあった。高いところが好きなうめちんは、迷わずタイ料理と答えた。インド料理はただ低い階にあるというだけで、負けてしまった。

 エレベーターを出ると、タイの民族衣装を着た女性が「サワディー」と手を併せて私たちを迎えてくれた。どうぞとタイ風の門構えの入り口へ私たちを導く。そして、インドにいながらタイにいるような気分に早変わりした。タイ一色の店内は、静かで落ち着いた雰囲気。タイの民族衣装を着たインド人が私たちを待ちかまえる。時間が早いからか客は、私たちだけ?のように見える。3人の給仕が入れ替わり立ち替わりやってくる。暇なのだろう。飲み物を頼むと、メインメニューがやってきた。やっぱり、高いんだろうなぁ・・・どきどきしながら開いてみる。はれ?驚くほど高くないような気がするんですけど、旦那様どう思いますか?そうね・・・そうかも。ヴェジタリアン用のメニューはさらに安かった。ソムタムやトムヤンクンなど一般的なものの他に6品ほどの皿を頼むことにする。うれしいことに白いご飯はフリーなのでチャーハンなどのご飯類は頼まなかった。

 料理が次々に運ばれてくる。これまたうれしいことに一皿に結構、沢山料理が乗っている。しかも、どれもこれもおいしい。本場タイで食べてきたどのご飯よりおいしく思われた。腹も空いていたのも手伝って、話も忘れて夢中で食べる。本当においしかった・・・

 満腹、満足でホテルを出る。オートリクシャが入れないこのホテル。帰りは、タクシーが入り口の目の前に停まっていた。ドアマンの大きなおじさんが二人、運転手に「ちゃんと送り届けろよ」と肩を叩いてすごんでいた。ドアマンのおじさんにメーターを倒してもらい、ちょっと安心して乗り込む。

 パハールガンジのデリー駅側入り口でタクシーを止めた。メーターを回していたので運転手に「料金表見せてくれ」と言うと「そんなのない。100ルピーだ」そう言いきった。「はあ、なにいってんの。料金表だよ、料金表」「持ってない。ここまで100ルピーだ」そう言って譲らない。頭に来た私たちは、「料金表がないんならお金払えないよ」とそのままタクシーを降りた。そして、ホテルに向かって歩き出す。振り向くが、追ってくる気配もない。それどころか、すーっと走り出して行ってしまった。本当に行ってしまった。お金払わないで悪かったかなぁ・・・そんなことを少し思ったが「俺が降りる時に、『フリーだ』と言っていたからいいんじゃない」そんな言葉になんだ、やっぱりインド人だったと思った。

 そして、夢のような時間は、そんなへんてこな出来事で幕を閉じた。

2001.5.24(木)