「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記インド編

2001.4.19(木)

 『バーガーキング』と言うハンバーガーチェーンを知ってますか? 炭火焼きが売りで、その名の通り大きいハンバーガーを売っている。デリーとボンベイにはマクドナルドはあった。でも、『バーガーキング』は見ていなかった。ある日、暇に任せて某ガイドブックを読んでいた。フトある一行に目が止まる「Taj Gangesのそば、バーガーキングの2軒・・・」え、『バーガーキング』あるの?これは、行かねば・・・

 大通りでリクシャを捕まえた。「Taj Ganges Hotelに行きたいが15ルピーでどうだ」と告げるとリクシャのオヤジは首をかしげた。値段に不満があるのかと思いきやリクシャの客席をぽんぽんと叩いて「乗れ」の合図をする。ん?すんなり15ルピーで行ってくれるらしい。ちょっと高めの値段だったか?と思ったが、まあいいかなどとリクシャに乗り込む。さあ、出発しよう・・・れれ?リクシャのオヤジがいない。どこへ行ったのだ?と思ったらリクシャの後ろで通行人を捕まえて何か話している。乗合リクシャか? でも、もう、乗れないよ。早く行こうとオヤジに催促をすると「まあ、待て」と手の平を前に突き出す。そして、別の人を捕まえ、また話し込んでいる。もしかして・・・道知らないの? 結局、英語が話せる通行人を捕まえてオヤジに通訳してもらった。リクシャのオヤジが「Taj Ganges Hotelまで15ルピーで妥当かな?」などと通訳の通行人に聞いていた。本当にこいつはリクシャワーラーか?と思うような言動。「いいんじゃない?」と軽く答えて通行人は行ってしまった。太陽が照りつける大通りをようやく出発した。

 Taj Ganges Hotelはバラナシカント駅を超えた新市街にある。線路を超えてからもだいぶ遠かった。久しぶりのファーストフードに胸躍らせる二人。偽物かも知れないが、本物だと99%確信してリクシャに揺られること20分。Taj Ganges Hotelが見えてきた。「結構遠かったなぁ、15ルピーでは安すぎるか?」とちらっと思った。財布を覗くと10ルピー札1枚と50ルピー札1枚、それに100ルピー札3枚に小銭が3ルピーしかなかった。これは20ルピー払わざるをえないかなと思いながら50ルピー札を差し出し釣りを要求した。何もいわず50ルピー受け取ったリクシャオヤジ。自分の財布から10ルピー札を何枚か取り出し、うめちんに渡し、慌てふためきもせず、サドルにまたがろうとする。うめちんの手には、なぜか40ルピーがあった。何度数えても10ルピーが4枚だった。いくらなんでもこれでは、このオヤジがかわいそうだと仏心のうめちん。走り出そうとするオヤジを引き止め「5ルピーないのか?釣りが多いぞこれじゃ」と聞くが黙っていこうとする。なんだこのリクシャワーラーは神か仏かものすごい善人か?と思ったが、それでは日本人心の持主の私たちも気が収まらない。

 そんなやり取りを見ていたインド人が割って入ってきた。うめちんの手の中の40ルピーを見て「なんだ、ここまで15ルピーで交渉したのか?ちょっと待て」とリクシャオヤジを捕まえ「おい、リクシャオヤジ、お前いくらで乗せようと思ったんだ?」少しおびえている様子。「15ルピーでいいと思ったが、ここまで遠かったから20ルピーもらおうと思って・・・」「でも、お前、50ルピーの釣りに40ルピーも渡したら残りは10ルピーだぞ」少しポカンと通訳を見つめるリクシャオヤジ。そして、うめちんに対し「・・・10ルピー返して」と手を出すリクシャオヤジ。「でも、リクシャオヤジ、この日本人は正直にお前の金を返そうとしたんだから、15ルピーにするのがフェアじゃないか?」「でも・・・」5ルピーは出てこなかった。まあ、いいかぁとこっちから手を引いた。彼は本当にリクシャワーラーだったのか?本当に疑問だった。

 Taj Ganges Hotelに向かって左側にはそれらしき建物がなかった。Taj Ganges Hotelの正面門から右側に歩き出す。「あ、あれだ!!俺、見っけ。ぶふふ」いち早くバーガーキングを発見したうめちん。なぜか噴き出している。はて、私にはあの見慣れた看板は見えてこない。一体どこにあるの?背伸びをしてみるが見えない。早く、食べたいなぁ、炭火焼のハンバーガー・・・あれ?この国って牛食えないから、ワッパー(キングバーガーの商品名)はないのかしら?などと幸せなことを考えつつ、きょろきょろしながらしばらく歩いた。先に行ったうめちんがニヤニヤしながら、ひとつの建物に向かって指を指している。はて?どこに看板が????アレー?もしかしてあれが『バーガーキング』???しょぼかった。確かに「バーガーキング」とは書いてある。でも・・・私の想像とは、だいぶかけ離れたものがあった。いや、外見で判断しちゃいけない。ちゃんとワッパーが出てくるかもしれないじゃないか。

 店内は、立ち食いそばやかと思えるようなスタンド形式のカウンターが並んでいた。インド人が結構たまっていた。メニューを見ると「ベジバーガー」「チーズバーガー」「ベジチーズバーガー」「パニールバーガー」「フィンガーチップ」まではよかったが、チョウメンやフライドライス、その他、『バーガーキング』らしからぬメニューが勢ぞろい。しかも、『バーガーキング』だからなのか、Taj Ganges Hotelの隣だからかなんだか知らないが、値段も少し高めのようだった。ウェイターらしい店員が近づいてきたので、とりあえず、「チーズバーガー」「ベジチーズバーガー」「フィンガーチップ」にジュースを頼む事にする。すると「ジャパニ、フィンガーチップは20分ほどかかるがそれでもいいか?」こともなげに答えた。「・・・いや、いらない・・・」程なく、ハンバーガーどもがやってきた。ホットドックに近いそのハンバーガー達は、ハンバーグの代わりにポテトカツレット(インドの辛いポテトコロッケ)が挟まっていて、結構、おいしかった。味的にもお笑い的にもだいぶ満足し『バーガーキング バラナシ店』を後にする。

 リクシャワーラーといい、『バーガーキング バラナシ店』といいおかしな一日だったなぁ・・・

2001.4.18(水)