「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記インド編

2001.4.2(月)

 雀士がやってきた。何して遊ぼうか? 「ねぇ、知ってる? ガンガーって、イルカとかワニとか、黄金の魚ドラードって体長1m50cm位の魚いるんだよ」「え、イルカとワニは分かるけど、金色のドラードって・・・それって、流れてくる死体とちゃうの?」「ああ、そうとも言うね。あはは」「なんか、根掛かりとか嫌じゃない?底に引っかかってるんだけど、微妙に動いたりして」「うわー、それ嫌だなぁ。本当にドラード釣れたらどうする?」「んーどうしようなぁ」そんな、冗談じゃない冗談を言いながら、ガンジス川で「リンカーネーションを感じる釣りをしよう」ということになった。

 「餌は、何にする?」いろいろ考えて、サツマイモをふかしたものにすることに決定。涼しくなった頃、コンロで芋をふかし、仕掛けを作り、いざボートヘ。勇んで宿を出るところで宿の主人シャンティさんに止められた。「あなた達、ガンジス川は釣り禁止のこと。バラナシでは、釣りが出来るとこないはず。船の人知ってる。船の人にどこで釣れるかきいて」え、そうなの?いつも乗るボートの少年に尋ねると「バラナシ、釣り禁止。警察に捕まる。あの、鉄橋の向こうは大丈夫だけど、遠いよ。それに今日はお祭りあるから、ぜんぜんだめね。あと、一ヶ月して雨が降るようになったら釣りOK。あと、一ヶ月待って」えーでも、この辺で釣りやってる人いるじゃん?「あーあれね、あれ、いけないこと。あの人たち、警察きたら、糸、川に投げればいいから大丈夫。でも、つり竿は目立つから」そうですか。どうりで、釣りしてた奴らこそこそしてた訳だ。と言うことであえなく断念。

 先ほど蒸かした芋をかじりながら次の遊びの作戦を考える。「この芋いけるじゃん」などと話が進まないまま、時間が過ぎてゆく。ポン!そうだ、灯篭大会しよう。ひらめいたように平手を打つうめちん。善は急げ。でも、灯篭って、一体、どうやって作ったらいいの? 何も分からないので、とりあえず、その辺にいた知り合いを集めて、灯篭用品が売っていそうなメインガートに行ってみることに。メインガートをふらついていたら、うめちんの知り合いのコンロ屋のおやじが座っていた。彼に聞いてみることに。話をしていると、近くで花を売っていたおばちゃんが、話に割って入ってきた。すると、どこからともなく、葉っぱの皿と紙受け皿、ラードに花、灯篭が次々と目の前にやってきた。おばちゃんが、ひとつ見本で作ってくれた。「いくつ欲しいんだ?」「200くらいかな?」と言うと、せっせと作り始めたので「自分達で作るから、材料だけ売ってくれ、いくら?」すると「100個分で500ルピー」と簡単に答えた。開いた口がふさがらない。そんなにするか? 立ち去ろうとすると、待て待てと焦るおばちゃん。値切り交渉開始。50ルピー以下では絶対売らないと言うので50ルピー払ってその場を立ち去る。もっと、安く手に入るはずだと、足りない分の買い足しを自分達ですることに。

 その辺の店の人にどこで買えるのか聞いて、指を指すほうに向かうと一軒の素焼き陶器屋が現れた。素焼きの小さなランプや葉っぱの皿、灯芯など灯篭用品が売っていた。そこで、驚くほど安い値段で200個分の灯篭用品を買った。この驚くほどの安さに、インド人価格の本当の現実を見たような気がした。

 辺りに闇が忍び寄る、急がないと日が暮れてしまう。久美子ハウスの前まで戻って、ひとつ実験をしてみる。おばちゃんのところで買ったラードでは少なすぎるので、ケロシンを少し買い足していた私達。ケロシンでランプを作って火をつけてみる。すると、燃える燃える、ぼんぼん燃えて、葉っぱのお皿に乗せ川に浮かべたら、葉っぱに火が引火、沈む前に少年に水をかけられ鎮火と共に沈没。やっぱりラードがいいみたい。急いでラードを買いに行くうめちん。ようやく、材料がそろったところでボートに乗って沖へ出る。今日は、忙しそうなのでボートマンに漕いでもらうことにした。

 船の上で、早速、内職をはじめる。葉っぱ皿を並べて、花ちぎって、素焼きの皿にラードを入れて灯芯浮かべて、ある程度出来上がったら火をつけて、浮かべる・・・なんだか忙しくて、灯篭が流れていくのを見ている暇がない。しかも、下を向いて作業していたせいか、気分が悪くなってしまった私。気分の悪さに遠くを眺めてはじめて灯篭が流れているのを見る始末。ああ、これだったら、上から眺めていた方がいいかもなぁ。なんて思ってしまった。150個ほど流した時点で葉っぱの皿が底を尽きて終了。なんか、きれいだったと言うよりは、みんなで何かをやったと言う達成感の方が大きかったような気がする。夕飯の時間をとうに超えている。宿に帰ると、久美子さんがちょっとむっすり顔で迎えてくれた。一部始終を見ていたらしい。夕飯もちゃんとあまっていた。

 ご飯を食べながら、今日の教訓を生かして、明日もチャレンジだー。作戦を練る私達の夜はこんこんとふけて行く。

2001.4.1(日)