「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
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k日記インド編 2001.4.1(日) 昨日、そのちゃんのシャントゥールのデビ先生に道端で偶然会った。話の成り行きかなんだかは分からないが「明日コンサートがあるんだが、聞きにこないか?「園子さんに教えたラーガをやるんだ。レコーディングもできるぞ」とお誘いの言葉。もちろん行きます。行きます。場所は?どうせ、その辺のミュージックセンターでしょ?と聞くと「じゃあ、明日の7時30分に我が家へ。いっしょに行こう」と言うことで、タブラのレッスンを終えて宿で夕飯を忙しく食べ、デビ先生のお宅にお邪魔する。ベルを鳴らすと白いワンピースの少女が「いらっしゃい」と銀色のボウル片手に私達を迎えてくれた。シャントゥールの幻想的な音色が家中に響き渡っていた。少女が指を指す部屋をのぞくとのするデビ先生が熱心に弦を叩いている。なんか、気合入ってるなぁ? ツーリスト用のコンサートでもこんなに真剣にチューニングしてるし・・・しばらく、座って聞いていることに。 「ちょっと待ってて」の言葉を残してどこかに消えてしまった先生の代わりに先生の息子がやってきた。「僕、タブラ習ってるんだ」お、聞かせておくれというと、ミニタブラを抱えてやってきた。叩き始めて絶句。その辺にいるミュージックセンターのオヤジくらいに叩いている。少しショックを受けた私。一体、いつ頃から習ってるの?「3年位かな」少し落ち込み気味の私に「君は、まだ始めて10日しかたってないじゃないか。落ち込むことはないんだよ。さ、もう、行こう」私も3年であれだけ叩けるようになるかな? 暗い路地を抜けるとダシャシュワメード・ガート前の野菜市場に出た。たくさんのバイクやリクシャ、のそのそ歩く牛たちが私達の行く手をさえぎる。器用にすり抜け一本の細い路地へ再び入り、すぐに一軒の家の門をくぐっていった先生。え、ここ? ミュージックセンタ−の看板も何もなく、ただの家に見える。首をかしげながら門をくぐり明かりが差す方へ・・・広いベランダにたくさんの自転車。光が灯るその部屋には、神様が奉られていた。祭壇に向かって腰を下ろす先生。その横には、すでに来ていたタブラ奏者の老人。そして、観客は額に赤いビンディと白い線がかかれたオヤジ数人と私達日本人3人。 厳かに演奏は始まったが、偉そうなオヤジがちらほら増えるばかりで、ツーリストのツの字も見えない・・・これは、どういうこと? 演奏もその辺のツーリスト用の演奏とは訳が違うプロの演奏。しかも神様に向かって弾いている。奉納演奏? 観客は私達じゃなく神様ってこと? こんな演奏会に私達みたいな異教徒が来ちゃっていいの? 少し遠慮気味に壁際で聞いていると「もっと、近くにおいで」と手招きしている偉い人。お言葉に甘えて前進。写真を撮っていいのか迷っていると「写真?撮れ撮れ」とニコニコしている。 演奏が終わると奉納してあったお菓子までお土産に持たせてくれた。なんとやさしいインド人。それにすばらしい演奏も聞かせてくれた。「これは、君達へのプレゼントだ」とニコニコしているデヴィ先生に感謝をする。こんな体験、なかなかできないよ。招待してくれてありがとう。スキップしながらすっかり暗くなった宿への小道を歩いていった。興奮冷め遣らぬうちに宿で起きていた人を集めて先ほど頂いた奉納菓子を星空の下でほおばる。口いっぱいに甘い汁が広がる。ああ、甘い、甘い、甘い・・・ |
2001.3.31(土) |