「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記インド編

2001.2.26(月)

 7時にバスはこなかった。宿のオヤジのジャルガオン行きは7時にある、と言う言葉を信じて早起きしてバス停まで歩いてきたのに・・・この分じゃ、ジャルガオンから出るアーメダバード行きの列車には乗れないだろうなぁ。チャイを飲みながらバスを待つ、あきらめ気味の二人。「もう、間に合わないねぇ」なんて言っているうちにやっとやってきたバス。乗りこもうと列に並ぶとたくさんの人達が降りてくる。荷物で占領された椅子。ようやく座る場所を確保して座るが、なかなか出発しない。先ほど降りていった人たちが悠長にチャイなんぞ飲んでいる。エンジンもブルンといって止まってしまった。早く出発しようよぉ。

 バスは、ようやく調子の悪そうなエンジン音とともに走り出した。調子が悪いといっても、スピードは出る。なんか、スピードを遅くすると、エンジンが止まりそうになるようだ。アイドリングがやけに低いのかもしれない。前に座っているオヤジの腕時計を見ると、すでに8時50分。ジャルガオンにはいつつくのだろう?9時を回ったあたりで大きな街に入った。もしかするとここがジャルガオンか?隣のオヤジに聞くと「そうだ」と答えた。もしかしたら、アーメダバード行きの列車に間に合うかもしれない。ちょっと期待するが、いかんせんエンジンの調子が悪いバス。信号で止まるたびにエンジンが止まり、再びかかるまでに時間がかかる。そして、バスターミナルについたのが9時10分ごろ。

 もう列車行っちゃったなぁ・・・とりあえず、予約を取らないといけないのでオートリクシャを捕まえ駅へ向かう。チケット予約カウンターで「アーメダバード行きの列車は何時に出るの?」と聞くと「朝の9時10分か、夕方の…アーメダバードに行くの?今?オイ、急いでチケット切ってくれ」隣にいたオヤジがキーボードを手早く打ち始める。「え、何、間に合うの?」「今、2番ホームにいるから。走れ。走れ」お金を渡すと手早く釣りとチケットをよこして、走れと手を振る。チケットカウンターを出て、階段を駆け上がる。渡り廊下を重い荷物を担いでどたどたと走り抜け2番ホームへなだれ込み、適当な車両に飛び乗る。「プワーーー」警笛が鳴り響きガタン、ガタンとゆっくり走り出した。乗れるとは思わなかったこの列車に乗れてしまった。

 流れる車窓をチャイを飲みながらぼんやり眺める。アーメダバードは、最近、地震があったグジャラート州の街だが、街はどんななのか?地震の被害とかあるのか?この列車、本当にアーメダバードまで行けるのか?少し不安が過る。

 列車は、進むにつれてどんどん人が減っていく。「君達、どこまで行くの?」と聞かれアーメダバードと答えると、変な顔するやつまでいる。なんだなんだぁ、不安が募る。バローダという駅ではすっかり人がいなくなってしまった。が、逆に大量に人が乗ってきていつのまにか満員。ちょっと、安心。駅のオレンジ色の明かりがまぶしく、アーメダバードに無事到着。駅を出るとネオン輝く街並が見える。ホッ心をなでおろす。街は崩壊してなかったのだ。

 うるさい客引きを蹴散らし、構内を出ると、目の前の道は、車線、歩道なんか関係なしにびっちりバイクとオートリクシャが詰まっていた。牛が道路を横断しようとしたが、渡りきれずに取り残され、交差点の真ん中でたたずんでいる。みんなきわどいところで牛をよけて走り去る。排気ガスも尋常じゃないほどすごい。やっと道路を渡り、宿にたどり着く。なんだか、本当の「インド」というものをちょこっと見たような気がした。

2001.2.25(日)