「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
||
k日記インド編 2001.2.25(日) バスはすぐに出発した。もうもうと土煙を上げ、猛スピードで茶色の大地を走り抜ける。いくつかの村を通りぬけ、アジャンター石窟に程近いファルダプルと言う村へ到着。 「明日は、石窟休みだよ」と言う宿のオヤジの忠告を聞いて急いで石窟に出かける。が、バスもオートリクシャも乗合トラックらしきものも何も通らない。どうやって石窟に行く?しばらく木陰で考え込んでいると、人をたくさん乗せたオートリクシャが目の前でとまった。「どこ行くの?」アジャンター石窟と答えると「乗ってきな」と言う。すでに運転手を含めて5人も乗っている。どこに乗るの?と思いきや、一人が運転手の脇に無理やり腰掛けて前に三人、うめちんの膝に私が座って後ろに4人と言う構図。のろのろと走り出すオートリクシャ。バババババフンと悲鳴をあげている。7人も乗っているので早くも走らない。坂道では、歩いたほうが早いのではと思うほどだった。 急な坂を登りきると、湾曲した岩壁にぽっかりと口をあけた石窟がきれいに並んでいるのが見えた。入り口でまたもや外国人料金に頭にくる二人。仏長面で、US20ドルを係員の前に置くと後ろから風が吹いて5ドル札が宙を舞って落ちていった。それを見た係員「おまえ、今投げてよこしただろう」と怒鳴ってきた。「そんな事するはずないだろ。風が吹いて落ちたんだ」そういっても「投げてよこした」とチケットをよこさない。5ドル札を拾いながらぶつぶつ文句を言っている。挙句の果てに「15ドルしかないじゃないか、あと5ドルよこせ」とよく探しもしないでまくし立ててくる。こっちも負けていられない「なにいってんだ。よく探せ」と大きな声を出す。「おまえが探せ」と言うのでチケットブースへ乗りこむうめちん。オヤジの足元を見るがない。オヤジの机の引出しを開けると5ドル札が1枚出てきた。「あるじゃないか」と勝ち誇った顔でチケットブースを出てくるうめちん。「チケット欲しいか?投げてやってもいいのか?おまえは、金を投げてよこしたんだぞ」とまだ、そんなことを言ってチケットを渡さない。「投げればいいじゃないか」と言うとバンとチケットを窓口の机にたたきよこした。そんなオヤジの態度と外国人料金にに頭にくる二人。そして、怒りに追い討ちを駆けるようにカメラの電池がなくなる。二人で無言で歩き始める。 アジャンターの石窟は、美しい壁画がたくさん残っていた。ぼんやりライトアップされていて、いい感じで壁画が見える。石像も色が残り、エローラの石窟より保存状態がいいように思えた。が、石柱や入口の装飾などはすべて今現在の材料で直したものがほとんどで、オリジナルはほとんど壊れてしまっていたようだ。しかも、オリジナルがあったかなかったか分らないだろうところに柱を立て、装飾をほどこしたりしているものまである。いったい、オリジナルを見たことがある人はいたのか?疑問に思った。何が世界遺産だ。これでは遺産ではないじゃないか。もう、現代の建築と言っても過言じゃないような気がした。それでも。これだけの石窟を作った昔の人たちには開口である。 たそがれ時、アジャンター石窟から乗ってきたバスを降りる。荒野に沈む夕日を見ながら宿へ。すっかり日が沈むと静寂が訪れ、夜空にはうっすらと細い三日月が姿をあらわす |
2001.2.24(土) |