「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記エクアドル編

2000.11.29(水)

 朝、前の部屋の目覚ましに起される。時刻は4時30分。まだ、2時間は眠れると思ったが、そうは問屋は卸さなかった。その目覚ましを掛けた張本人たちの大声で眠れなく、自分で6時にしかけた目覚ましがなる前にベルを自分で止めてしまう始末。さすがに眠いが、うめちんをたたき起こす作業で目が冴えた。

 朝ご飯を食べて、バスで空港へ向かう。昨日、来た道を走るバス。安心しきって空港に着くのを待つ。が、これもそうは問屋は卸さなかった。バスは、空港を素通りし、どんどん細い道へ入っていってしまう。あれれ?運転手に聞くと何事か叫んでいる。そうしているまに、空港から2km先にある街、アラフエラに着いてしまった。「空港に行くッて言ってくれれば、空港に寄ったのに・・・ささ、アレに乗換えてくれ」と前のバスを指差す運転手。「なんだよ、それ、だって空港行きって書いてあるじゃんか」と抗議するが、そんなことを言っている場合ではない。早く空港に行かねば、重い荷物を引きずりバスを乗り返る。しかも、向こうが悪いのに再度料金まで取ると言う。文句を言ったが、早く出るからと言うので料金をしぶしぶ払う。

 程なく、空港へ到着。トランジット料金で空港税を払い、急いでチェックインカウンターへ。カウンターは予想以上に混んでいた。3つの飛行機をいっぺんにチェックインしている様子。キト同様の荷物を預けると、何も言わず荷物タグを貼ろうとする係員。荷物タグを見ると、「MGA」となっている。はて?マイアミは「MIA」じゃなかったっけ?首をかしげていると、何かに気がついた係員が貼ろうとしていた荷物タグをゴミ箱にポイと捨て、新しいのを出して貼っている。良く見れば、今度は「MIA」になっていた。「MGA」ってもしかしてニカラグアのマナグア?うわー危ない危ない、マナグアに荷物が行っちゃうとこだったよ。今回の飛行機旅はロストバゲージがあっちゃだめなんだよ。ほっと心を撫で下ろす。カウンター業務が忙しいのか、機内預けの荷物は何も言われること無く、荷物チェックだけ受けて待合室へ。

 

 コーヒーを買ってコスタリカコロンを使い果たし、飛行機に乗るのを待つ。しかし・・・出発5分前になっても搭乗の案内がない。変わりに早口のスペイン語とこれまた早口の英語で長々とアナウンスが流れた。なんでも、前のフライトに乗っていた乗客の機内持ち込みの荷物が無くなって、すったもんだしているので乗せられないのだそうだ。だから、もう少し待ってくれと言うそんな内容だった。

 離陸の時間はとうに過ぎていた。10分も待っただろうか?搭乗ゲートが開いて乗客をバスに乗せ始めた。じゃあ、私達もとゲートに向かう。すると、一人の空港係員がパスポートのチェックをしている。おとなしくパスポートとチケットを見せると「片道のチケットではアメリカに入れない。この先はどこへ行くんだ?」と言うので、ルフトハンザからもらったプリペイトチケットを見せる。「こんな、紙切れじゃダメだ、チケット、チケット」とチケットを見せろとうるさい。「そんなものはあるはずはない、よく見ろこのプリペイドチケットを。マイアミのフルトハンザのカウンターで受け取りになってるだろ。お金も払ってるし、キトのアメリカ大使館にも聞いてきたんだから、アメリカに入れるよ」と説明すると、不信顔でチケットを持ってどこかに消えて行った。数分してもどって来ると「予約を確認したんだ。留置いて申し訳ない。バスに乗ってくれ」やっと分かってくれたか・・・まあ、コレが仕事だからしょうがないでしょうな。開放してくれたのでバスに乗り込む。

 バスに乗り込む。程ほどに満杯になったので走り出すが、ちょっと走ったらバックで元の位置に戻ってしまった。そして、真っ黒の空港係員がやってきて「飛行機の到着が数件あるので、15分ほど待ってください」と説明してバスを降りて行った。マイアミに定時に着けるのだろうか?ルフトハンザへの乗り継ぎが心配になって来る。暑さと不安とに挟まれ私の血圧は急上昇といった感じで、早く出発しないかと気だけが焦る。

 やっとバスが走り出した頃には、離陸時刻をゆうに30分は越えていた。飛行機に乗り、離陸をした頃には、1時間ほど遅れていたに違いなかった。でも、取り合えず離陸したので一安心。がらがらの席を自由に使い、のんびりご飯を食べて、本を読む。そうしているうちにやはり少々遅れてマイアミへ到着。そんなに人数がいなかったイミグレを通り、すでに出てきていた荷物を受け取り、簡単な税関を通って、広い空港をさんざん歩いて、ルフトハンザのチャックインカウンターへ。テキパキとした対応のイイ係員に導かれるまま、荷物を預け、プリペイトチケットを正規のチケットに替えてもらい、出国ゲートへ。時計を見ると離陸30分前。まだ、飛行機への搭乗も始まっていなかった。間に合った。またまた一安心。なんだか、肩の荷が降りて行くのを感じる。

 マイアミからのフライトは400人乗りのジャンボ機。飛行機に乗り込んで愕然とするうめちん。荷物置き場が小さくて私達のバックパックが乗らないじゃないですか・・・それ以前に、先に乗りこんだ乗客の荷物ですでにいっぱいになっている。それそれ、足元に荷物を突っ込んでいるのが見える。でも、私達の荷物は足元には入らない。どうしようか・・・乗務員に頼んでみる。何人かの乗務員が同じことを聞いては「ちょっと待ってって」と言って素通りして行く。結構、年がいった乗務員が「こんなおおきな荷物、下の倉庫に置くしかないわ」と強く言った。断然、反対するうめちん。「コレは、全部貴重品だ」と中に入っている物の名前を言うと「無くなったら、ルフトハンザで保証してあげるから大丈夫よ」と軽く言い放った。嘘付け、全部保証しきれない金額だろうと喉まで出かかったとき、一人の若い乗務員が助け舟に入った。彼には、だいぶ高価な物と分かったのだろう。こちらへと案内されるままについて行くうめちん。どこかへ姿を消してしまった。

 数分後、ほっほっと笑いながら帰ってきた。「どこに収納したの?」と聞くと「ビジネスクラスの椅子の下」と答えた。そして「あのばばあなんていったと思う『ここが開いてなかったら、絶対、下の倉庫に降ろさせるのに』って悔しがってたよ」なんだか、客に対する態度じゃないような気がしたが、まあ、荷物が置けたと言うことで、よしとしよう。ルフトハンザの接客は、先ほどの対応以外は、とても良かったと思う。ただ、椅子がなぁ・・・広くてゆったりしていて、頭の所に都合のイイはずの枕が着いていていいんだけど、私にはいかんせん大き過ぎるのだ。前の椅子が視界に入りテレビは見えなく、都合のイイはずの枕には頭が届かず、使えない。寝ようにも、どうも体勢が安定しなく、眠れないまま本を読み続ける。起きていると、飲み物をどんどん運んでくる木目細かなサービスに、何だか断るのも悪くついもらってしまう。おのずと、トイレに行きたくなるようになっているが、窓側を陣取ってしまった私はなかなか行きづらい。

 そして、寝られぬまま、長い一日が終わりを告げる・・・何ごともなくて良かった。

2000.11.28(火)