「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記コロンビア編

2000.6.22(木)

 朝露が瑞々しい山々の向こうは、雲深い雲海が、広がっていた。ココは、こんなに山深い所だったのだと朝になって始めて気がついた。朝靄が美しさを倍増させる。ヒンヤリと空気も美味しい。

 少し山を登ると、後は下りが多くなった。ここは、アンデスの北の端。ようやく、南の端から続く長い長いアンデスの旅が終わる。

 牧草地帯を走る牛次郎。同じ模様の牛たちがたくさんいた。「ねえ、牛男さん。あれ見て、牛が牧場の外を走ってるわよ」「ア、本当だ、牛子さん。どうして、あいつは牧場の外に出られるんだ?しかも、恐ろしく早いぞ」「ホント、なんて勇ましいのかしら。私、メロメロォ〜」「そんな、牛子さん・・・」ガックリ肩を落とす牛男。そんな、会話が交わされているかもしれないほど、広大な緑の牧場にたくさんの牛がいた。

 昨日の遅れを取り戻すかのように、軽快に飛ばす牛次郎。南国の風が吹いてきた。遠くの空には、大きな積乱雲が幾重にものび、夏のような陽射しが照りつける。車を停めるとむっと一気に暑くなる。どんどん走れ、牛次郎!!

 遠く、ジャングルにオレンジ色の日が落ちる。青から紫へそして、真っ赤に空を染めるとき、残暑を思い出させる風が吹く。心地よい、セミの鳴き声にどこか懐かしい感じを覚える。そして、夕闇が迫る。暗くなるのは早かった。向こうの空が、一瞬、紫がかった青白色に光る。空を二つに分ける青白い稲妻が、空を這う。美しい。こんな風景、自分達の車じゃないとゆっくり眺められないと思った。牛次郎を買って本当によかった。

 
2000.6.21(水)