「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記コロンビア編

2000.6.15(木)

 夜通し走った。がたがたの真っ暗道を夜通し走った。青山さんの運転で・・・うめちんと私は、グーグー寝ていた。そして、空が白け始めた頃、僕は眠いと言う青山さんの言葉にうめちんの運転に変わる。輝く雪山がオレンジ色に染まり、そして、空は、オレンジ色から澄み渡った青に変わって行く。緑の山々は、朝日を浴びて輝いていた。綺麗だった。

 トゥルカンから、国境へ。快適に走る牛次郎。突然、急ブレーキのうめちん。どうした!!と前を見ると、ポリスチェックだった。右に寄って停まれの合図に車を路肩に寄せる。そして、窓越しに「おい、スピード違反だぞ!!ドキュメントを持って車を降りろ」

 へ!スピード違反?そんなのどうして分かるのと車を降りて行くうめちん。違反キップを切ろうとすおまわりさんに向かって必死に説得するうめちん「おまわりさん、この車はね、馬力がないんですよ。だから、90kmなんて出るわけないんですよ。ホントですよ」なんだか、理に叶ってるが、めちゃくちゃな言い訳。でも、笑って許してくれた。そして、笑いながら牛次郎を眺め、うめちんを引き止めた。

 「オイ、タイヤのボルトが抜けそうだぞ!!危ないなぁ」と車に乗っていた六角レンチをよこせとちゃんと締めなおし、他のタイヤも点検してくれた。いい人だった。それにしても、ボルトが二本すでになくなり、3本も緩んでいるとは・・・あの整備士、締め忘れたな!!ああ、気がついてよかったよかった。

 難を逃れて、再び走り始めた牛次郎。と、またまた急ブレーキ!!なんと、反対車線に大きな石が道路に引かれ、今まさに自分が走っている車線におじさんが一生懸命割ったビンのかけらをばら撒いていた。ストライキの一端だと直感。割れたガラスがない所を選んで急いで通過したが、もう少し遅ければ危ない所だった。昨日の夜、急いで出てきたのは正解だったのだ。そんなこんなで国境に到着。

 無事、車ともどもエクアドルを出国。スタンプを押してもらって車に戻ると、車の回りに数人の人だかり、そして、うめちんが軍人さんに尋問を受けていた。「お前らは、エクアドルに住んでいるのか?なになにツーリスト・・・マトリクラも持っているし・・・ツーリストでも車を買えるのか?知らなかった。で、どこへ、行くんだ?そうか、南米一周・・・気を付けろよ、コロンビアは危ないから」そうイイながら、顔が笑っている。そりゃ、そうだ。こんな牛車に乗っている人は、そうそういない。珍しいのは当たり前だろう。コロンビアも無事入国。

 で、車のペルミソは、どうすればイイの?と聞きに行くと「それは、トゥルカンのオフィスで取ってこなければいけない」「え、ここでくれるんじゃないの?そんなの聞いてないよ。だって、この人達素通りしてるよ」「ああ、こいつらはカリまでしか行かないから。でも、ベネゼエラに抜けるんだったら、それがないと出国出来ないから、必要だよ。」「分かった」泣く泣くトゥカンに戻る他なかった。

 さっき走った道を逆戻り。大きな石共は、すでに軍によって撤去されていたので難なく通過。そして、トゥルカンの街へ。はて?どこにそのペルミソをくれる所があるのか?うろうろ街を走りまわる。至るところでタイヤを燃やし、ガラスの破片を撒き散らしていた。聞いた道も車では通れず、しかたないので陰の方に車を停め、うめちんと青山さんの二人で歩いて行く事に。二人が行ってまもなく、目の前の道路でタイヤ燃やしが始まり、セッセセッセと割れたガラスのビンを撒き散らし始めた。

 あらら、ヤバイんでないの?でも、車を動かそうにもカギがない。私達に危害を加えようと言う気はないみたいなので、帰って来るまで待つしかない。そんなにしないで、返って来たので、被害が及ぶ前に早々立ち去る。結局の所、コロンビアの国境の町イピアレスで、ペルミソを取れと言われたので、そのままコロンビアに入国。イピアレスの町を目指す。イピアレスのペルミソをくれるというオフィスは、すぐ見つかった。しばらく話をするとすぐ、ペルミソを発行してくれた。しかも、タダで。有効期限は30日、書いてる通りの道を通ってベネゼエラにぬけなければいけない。

 無事にペルミソをもらい、イピアレスを後にしようと思ったが、すごい綺麗な教会があるので行って見ようという事になった。どこかにポスターが張ってあったのを見たらしい。では、道を尋ねて、出発。

 どんどん山道を登って行く。緑の山々に深い谷、雲に沿って変わる緑が目にまぶしい。あれは?遠く谷の底に川が流れ、滝が落ちている。そこに尖塔を持つお城のような建物が谷と谷の間にへばりついていた。こんな遠くから眺めてもすごく綺麗に見える。近くで見たらもっとすばらしいに違いない。早く行こう!!急かす。

 駐車場に車を入れ、さあ、見に行こうと車を降りる。すると、青山さんが「ねえ、なんかシューって音がする。あっ!なんかタイヤから音がする・・・パンクダー!!急いで町に戻るよ」せっかく来たのに逆戻り。町まで急いで戻り一番先に目に付いたタイヤ屋さんに車を乗りつける。目にもとまらぬ早さでパンクを直してもらい。またお城のような教会へ引き返す。

 坂を下り、目の前に教会の尖塔が現われる。黒曜石の荒削りに白い目地がよく映えてすばらしい教会だった。中に入ると岩盤をそのまま利用した祭壇に地味な十字架が掛けられていた。ステンドガラスもすばらしい。川に掛けられた橋は、レンガアーチに荒削りの黒曜石で化粧が施されていたが、地震がこればたぶん崩れ落ちるだろうなぁなんて、恐くなってしまった。でも、よくこんな所にこんな物を作ったと感心してしまうほどの建物だった。

 教会を見た後、急ぎパストへ向かう。高い山に深い谷、そして深い霧。幻想的な世界が広がる。谷底まで500mはあるだろうか?家が豆粒のように見える。雨で山肌が崩れ、地肌が所どころに見えている。ガードレールが壊れ、何かが落ちた跡まである。そんな物はものともせず、牛次郎は急な坂道を一生懸命登り、惰性で下る。急なカーブもがんばって曲がる。一生懸命走る。でも、何台の車に抜かれたのかも定かではなかった。辺りがだんだん暗くなる。今日中にパストまで行けるのだろうか?そんな疑問が頭を過ぎる。でも、心配は無用だった。

 向こうの山すそに町の明かりが見えてきた。パストの町の明かりは、暖かく私達を迎えてくれたのだ。トラブル続きの1日は終わった。駐車場に車を止め、無事にホテルにチェックインしたのであった。

 
2000.6.14(水)