「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記エクアドル編

2000.6.14(水)

 朝日を浴びたキトはキラキラ輝いて眩しかった。朝もやの中トロルに揺られて、整備工場へ。整備工場の門をくぐると、私達の牛車がぽつんとあった。その脇から、すでに真っ黒のオジさんと丸々太った少年が、ヒョコっと首を出す。「おはよう、で・・・」と握手しながら車の説明を始める。この人が、腕のイイ整備士かぁ・・・

 ボディーに文字を入れようと、ペンキを購入。文章は考えてある。では、それをどう書こうか?4人で考えた挙句、「イイよ適当に書けば」に収まる。そして、青山さん、猪飼さん、うめちん、私と順番に1文字づつ書くことに。ペンキで文字を書くのは結構難しい。下に垂れたり、かすれたり、上手く書けなく、四苦八苦。でも、なんとか書けた。

 助手の丸々太った少年が、「これは、なんて書いてあるの?と聞いてきた。「南米VACA一台、見参って書いてあるんだよ。スールアメリカーノ、ソロ、バカ、ジェガール、わかる?」「・・・じゃあ、これは?」「花の牛次郎、セグンドバカだよ、分かった」「・・・?じゃあ、これは?」「ああ、これは、ホームページのアドレスだよ。ここにアクセスすれば私達が見れるんだよ。インターネットだよ。分かった?」「・・・」彼らは漢字を見て喜んではいたが、一体なんのこと?そんな感じだった。ただ、この車が牛だと言う事だけは、分かったらしく「バクーノ(すぺいん語で牛)」と連呼していた。そうだろうなぁ・・・

 そうこうしている内に日が暮れてくる。雨上がり、緑の山々が姿を現す。そんな時、「前輪の部品が来れば、すぐ終わる」と整備士が言った。それと同時に部品を買いに行ったもう一人の士備士のおじさんが帰ってきた。が・・・「あれ?この部品ねじ切りが反対だ・・・これじゃダメだ」そう言ってお金を受け取ると「そういえば、明日、パロだってヨ。だから、車は走れないよ」「え、ストライキ?何の?」「バス会社とか、交通機関のストだよ。バスやタクシーとか走らないし、道にいろいろ置かれるから走れないよ。たぶん」「そんなぁ、それって、キトだけ?」「いや、エクアドル全域だ」

 と言う事は、今日は、木曜日。明日でられないとなると、明後日以降になるが、週末のコロンビアは危険なので走りたくない。今日出ないと来週まで出られない事になる。それは、最悪である。なんとしても、明日の朝までに国境に行かねば。でも、部品がやってこない・・・で、帰ってきたオジさん。「部品屋もう閉まってたよ。だから、明日だ」

 えー明日じゃ困るんだよ。明日じゃ!!と唱えると困った顔をした。しょうがないから、悪い部品をそのままつけてコロンビアで直そうか・・・そんな話をしていると、部品を持った整備士が走ってきて「君達はラッキーだ!」そう言って部品を見せる。ねじ切りが逆なのにしっかはまっている?どうしたのこれ?「隣の旋盤工場でねじを逆に切ってもらったんだ、だから、直るよ」電球を付け、早速、取り付けにかかる。

 車が仕上る頃には、とっぷり日も暮れオレンジの街の光が輝いていた。試乗をし、こんなにしっかりと直してくれた彼らに感謝を言って宿に急ぐ。さあ、荷物をまとめ出発の準備をしなければ。

 宿に帰ると、お別れ鍋の準備ができていた。こんなにお世話になったスクレとも今日でお別れか・・・そう思うと少し悲しくなった。いい旅人達、いい宿だったなぁ・・・荷物をまとめ、がらんどうになった部屋を眺める。

 人気のないサンフランシスコ広場に、日本人の声がこだまする。みんなで記念撮影し、ポーン!!青山さんが出発のシャンパンを牛次郎に掛け、旅の安全とバカ度を祈る。しゅっぱーつ!!みんなの姿が小さくなる。これからどんな旅が始まるのだろうか?

 
2000.6.13(火)