k日記チリ編
2000.1.5(水)
午後8時発の列車でタコマへ。出発するまでに、列車の中で食べる食料、それとキャンプ用具を少々買いこむ。初めて、シティーバンクカードも使ってみた。が・・・何度やってもうまくいかない。見かねた警備員が手伝ってくれた。どうも、せっかちな機械らしく、のろのろボタンを押しているのが気に食わなかったらしい。やっと、お金を手にしニコニコ顔で後ろを振り向くとイライラ星人の長蛇の列が出来ていた。警備員にお礼を言い、そそそーとうつむき加減に銀行を後にした。
宿で荷物をまとめちょっと休憩。突然、すっくと立ちあがったうめちん。どうしたの?と聞くと「決めた!あれ、買ってくる」と言って嫌な顔をしていた私に「これが無いと損をする」と言うことを納得させようと思いつく限りのイイ点をしゃべりまくった。もう、何百回となく聞いた言葉だったのでそんなに耳を貸さないうちに承知したら、すごくうれしそうな顔をして走って行ってしまった。結局、店先でまた悩んだ挙句、買ってこなかったのだが、あれと言うのは釣りに使うリールである。今、もっている小型の物では、大物が掛かったとき負けてしまうからと大物を釣る夢を見ながらいつも語っていた。ここは、日本同様、釣り天国らしく釣具も豊富でしかも安い。毎日、釣具屋のウインドウを眺めながら買おうか買わまいかさんざん悩んでいたが、やっと決心がついたようだった。が・・・やっぱりケチにできているのだと思ってしまった。
ホームは、乗客で込み合っていた。午後8時を少し回ったころ、乗客が見守る中静かに列車がやってきた。静けさを打ち破るように、大勢の人が一斉に列車に向って歩き出す。車両は、満員だった。大きな荷物を網棚に上げる人、窓際で家族との別れをする人、はしゃぐ子供達、人、人、人でごった返していた。空の青がかすんできた頃、静かに列車は動き出した。ゆっくりと走り出す。霞む空と山々を紫色に染め真っ赤な太陽が沈んで行く。そして、暗闇の中を走り続ける。
何処からともなく、冷たい風が足元を通りすぎる。車掌が駅名を告げながらやってくる。暗闇のなか列車は、静かに止まり、また静かに動き出す。
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