「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記チリ編

2000.1.6(木)

 草原の彼方から朝日が昇る。朝日を浴び、辺り一面黄金色に輝く草原を列車は走り続けていた。寒さでピンと空気が張り詰めるなか、朝焼けの美しさに目を奪われた。もぞもぞと人々が動きはじめ、売り子が騒がしく列車内を歩き出す頃、暖かい日差しが車内に訪れた。心地よいまどろみが訪れ深い眠りに落ちて行く。気がつくと日は高く昇り、ゆっくりと終着の時を向えようとしていた。白い息を吐きながら、テムコ駅のホームに降りる。駅を出て、バス会社に向う。プエルト・モン行きのバスチケットを買い、青空市場を冷やかし冷やかされつつ近くのコーヒーショップへ。食欲旺盛なうめちんを横目にコーヒーをすする。からだの芯から温まる甘ったるいコーヒーだった。

昼頃、バスは走り出した。夏のバカンスの時期なのでリゾートに行く人や里帰りなどの人でバスは満杯だった。バスは、貪欲な雲が一面を覆う中、牧草地帯をひたすら走る。湖が見えてくるその向こうには、雪をいただいた富士山のような山が見えた。湖を過ぎて3時間ほど走るとそこはもうプエルト・モンだった。

 バスを降りると雨が少し降っていた。寒い。空気が張り詰め、澄んでいた。夏なのに・・・こんなに寒いのか?ここでこの寒さっていうことは・・・下に下ればもっと寒いってこと?日本で言う、ちょうど冬の初めって感じがする。

 取り合えず、プンタ・アレーナス行きのバスの予約を入れることに。3社聞いて回って一番運賃が安い会社に、明後日の土曜日発にちょうど2席あったのでそこで予約を入れる。そこには、安いバスだからどんなもんかなぁと心配するうめちんがいた。が、中米のバスよりはマシに決まっていると思う私がいた。客引きのおばちゃんに案内され宿にたどりつく。プエルト・モンの湾がよく見える小高い丘の上にある一軒の民家だった。扉を空けると暖かい空気が私達を出迎えてくれた。宿は、小綺麗で部屋も人も暖かく居心地がよかった。

 夕食を食べようと町に出ようと思ったら、一段と寒く雨がザンザン降っていた。雨が小ぶりになるまで少し待って、町の中心まで出かける。何を食べようか?レストランで料金表を見るとやっぱり高い。ファーストフードも高かった。やっぱりケチな私達は、肉屋で焼き鳥1/2羽とポテトフライを大量に買いこんで帰途についてしまった。途中、少し奮発してチリワインを購入。でも、安いしうまかった。

 列車とバスに乗りっぱなしで丸1日。サンチャゴから約2000kmも南下してきたのにまだ、倍以上南がある。チリって縦に長いんだなぁとしみじみ思った。

 
2000.1.5(水)