「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ブラジル編

2000.9.10(日)

 ブラジルと言えば、サッカー?「ブラジルでサッカーを見なければ」サッカーと言うものにそんなに興味がなかった私達ですが、見ておこうと思いました。「じゃあ、見よう!」と言っても、どこでどんな試合が行なわれるか?とか、チケットはどこで買えば?一体、チケットはいくら?日本のように高いんじゃないの?などと疑問ばかり。困り果てた私達。首を捻っている所へ、ホームページの掲示板で知り合った、ブラジル在住のテツさんが、サッカー大好きと言うことを思いだし、サッカー観戦に連れて行ってもらうことに。

 今日は、ブラジル選手権。今日は、モルンビースタジアムで、コリンチャンス対ビトリアの試合らしい。昼ご飯を食べたあと、地下鉄に乗り出発。地下鉄「Anhangabau」駅で、バスに乗り換える。モルンビー行きのバス停には、コリンチャンスのユニホームを着た人が数人並んでいた。大きなサッカーの試合があるときは、黒い人だかりが出きるほど混んでいるらしいが、今日はそんなでもないようだ。

 市バスが走り出す。すると、コリンチャンスのユニホームを着た人がいきなり歌い出した。あたかも、コリンチャンス応援専用バスのように。バスの壁をたたきリズムを取り、外に向かってコリンチャンスの応援歌を叫んでいる。テツさんは、コリンチャンス(ブラジルのサッカーチ−ム)の大ファン。いつのまにか、テツさんもコリンチャンスのユニホーム姿になっていた。「ねえ、もし、このバスにビトリアのファンが乗ってたらどうなるの?」すると「それは、ないでしょ」と言う答え。「何でですか?」「チームごとにバスの乗り場が決められてるからね。そうでもしなけりゃ、喧嘩になっちゃうでしょう。もし、間違って乗っちゃって、敵チームのファンだってバレたら大変な事になっちゃうでしょうな。見つかって、バス降ろされた人とかいるみたいよ」「・・・」「競技場の廻りとかで敵チームのファンと遭遇したらどうなるの」「それも大丈夫。出口も別で間に警官の壁ができるから。帰る道もいっしょにならないように決まってるんだよ。そうでもしないと、殴り合いとか始まるんじゃない」そうですか。ブラジル人のサッカーに対する情熱のほどが分かるような気がする。そんなのに巻き込まれたらどうする?「ははは、今日は大丈夫だよ。そんな大きな試合じゃないから」と笑顔。少し、ホッする。

 バスの中で歌を歌っていた人たちが、一斉に立ち上がる。どうやら、着いたらしい。私達も立ちあがろうとすると、コリンチャンスファンの皆さんが「オーイ、日本人。さあ、行こう」と手招きをしている。同士には親切らしい。

 歌を歌いながら歩いて行くコリンチャンスファン達にとぼとぼ着いて行く。5分も歩くと坂の下に大きな建物が見えてきた。あれが、モルンビースタジアム。いっしょに行ったサッカー旅行をしている旅人に言わせると「サッカーの聖地」だそうだ。

 チケット売り場で3階席で10ヘアル(約600円)のチケットを購入。2階席は、もう少し高いらしい。

 門をくぐって入り口に向かう。4、5人の警官が立っていて、厳重なボディチェックを受ける。大きな試合の時だと、市バスの検問まであるらしい。全員降ろされて、身分証の提示とボディチェックをうけるのだそうだ。スタジアムの中には、ジュースの缶やみかんやリンゴなどの固いものは、投げると危険と言うことで持ち込めず、入り口の検問で没収されてしまう。カメラやビデオカメラは、高級品は投げないだろうという推測のもと没収はされなかった。そうでもしないと、怪我人や死人がでるほど、サッカーに情熱を持っているということだろうか?ただ、強暴と言ってしまえばそれまでなのだが・・・

 スタジアムに入ると、緑の綺麗な芝が目に飛び込んできた。綺麗に整備されたフィールド。フィールドの廻りには、警官が外に向かって数人立っている。適当な席に腰をかけ前を見ると、対岸のビトリア応援席はガランドウ。数えるほどしか観客がいない。反対にコリンチャンス側は、結構な賑わい。フィールドに白のユニホームを着たコリンチャンスと赤のユニホームを着たビトリアがパラパラっと出てきた。一斉に歓声が上がる。ホイッスルの合図で試合開始。試合は、流れる様に進んで行く。ゴールに入りそうで入らないボールを見て怒る観客。ちょっとしたミスで「ケ、カーラリオ!!(侮辱の言葉)」と罵声と文句の嵐。おちおち見ていたら後ろから殴られそうな雰囲気。恐い。あっという間に0対0で前半終了。警備員に守られながら審判も退場して行く。

 日もすっかり暮れたころ後半開始。後半が始まってすぐ、コリンチャンスが一点先制。思わず立ちあがってみんなといっしょに大喜びする私達。いつからコリンチャンスのファンになったんだっけ?とフト思ったが、いいことにしよう。点を入れてから、だんだん疲れてきたのかコリンチャンス。動きがどんどん鈍くなる。それと同時に観客の罵声も文句も増えて来る。そして、試合終了10分前、ビトリアに反撃をくらい同点に。そのまま試合終了。罵声の嵐と共に、蜘蛛の子を散すように帰って行った。

 そんなにサッカーに興味のなかった私だけど、また、見に行きたいと思うほど、楽しかった。こんなに魅せられるとは・・・ブラジルサッカー侮り難し。

 楽しい一日は、まだまだ続く。前々から青山さんとの約束でリオ・デジャネイロへ行く事になっていた。物価の高いリオに長居は出来ないので、明日の朝早くリオに着く夜行バスに乗るために、サッカー観戦から帰ってきてすぐ、チエテのバスターミナルへ。午前1時30分発のバスに乗りリオへ出発。あまりの快適なバスに「牛とは大違いだぁ・・・」と驚きを隠しきれない3人。サッカー観戦で疲れていたのか、あまりにも快適だったのか、いつしか眠りに落ちていた。

2000.9.9(土)