「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ブラジル編

2000.9.11(月)

 冷房が利き過ぎた車内は、ヒンヤリしていた。寒さで、日が上がると同時に目が覚める。陽射しが柔らかく差した車内は、少し温かくなって来る。のほほんと眠気が襲ってきて、再び眠りに落ちる。

 静かにバスが停まり、車内が騒然となる。外を見るとリオのバスターミナルに着いたらしい。寝ていた、うめちんと青山さんを起して、バスを降りる。

 コルコバードへ向かう市バスを探す。朝のラッシュ時とあって、足早に歩く人、人、人。流されるように市バスのターミナルへ。バス会社の人らしき人にどのバスか訪ねると「ここじゃない、橋を渡ったあっちだ」と忙しそうにバス番号と場所を教えてくれた。言われた場所に行ってみると、道沿いにたくさんのバスが走り、たくさんの人がバスを待っていた。ものすごい速さで走ってくるバスを捕まえるのは至難の技。言われた番号のバスがやって来たが、真ん中の車線を走ってくる。端の車線を走るバスに引かれない様に飛び出し、手を前にだし、停まれの合図をすると私達の方へ向かって突っ込んできて急ブレーキ。ぎゅうぎゅう詰めの車内に押し込まれ、勢いよく走り出す。これは、地獄だわ・・・。

 コルコバードに登る電車は、がらがらに空いていた。観光客は私達だけ。後は、関係者ばかり。貸し切りの電車は、ゆっくりと急な坂を登って行く。頂上は、朝早くとあって掃除している人意外誰もいなかった。静寂の空間、空は澄み渡り、雲一つない晴天。朝のさわやかな風が気持ちいい。朝日を浴びたリオの街は、キラキラ輝いている。キリスト像も穏やかにリオの街を眺めていた。そんな、静寂もすぐにかき消されてしまった。ほんの数分の差で大量の観光客が押し寄せる。次から次へと・・・あの静寂は私達だけにくれたプレゼントかもしれないと思った。腹が空いたので下に降りる事にする。

 その辺のスタンドでパンをかじり、ポン・ジ・アスーカルへ。バスを乗り継ぎ、到着。前に登った私達二人は、ロープウェイに乗りこむ青山さんを見送り、下の海岸で待つ事に。

 海岸でぼんやり海を眺める二人。昨日からの強行軍で疲れていたらしく、ものすごく眠い。でも、海岸は、陽射しが強く暑くて眠れない。それじゃぁとロープウェイの待合室へ急ぐ二人。待合室のベンチに越し掛けたと同時に眠ってしまった。今、思うと大変な事をしていたような気がするが、何も取られていないので良しとしよう。

 2時間後、青山さんがニコニコしながら帰ってきた。だいぶ楽しかったらしい。その足で、コパカバーナ海岸へ行こうとバスに乗るが、どこで降りていいのか分からないうちにイパネマ海岸まで来てしまった。でも、海岸はいっしょとはしゃぐ男二人。妙にニコニコしている。それもそのはず。青い海に綺麗な白の砂浜には、ヒモみたいなパンツに布の少ないブラのビキニを着けた花のようなおねえさん達が寝転がったり、堂々と歩いたりしている。「そこの二人、鼻の下が伸びきってるよ!!」突っ込みたくなるほどお姉さん達を眺めている。しかも、ビデオをまわし、写真カシャカシャ撮ったりして・・・スケベ丸出し。「写真を撮らせてくれ!!」と海岸で寝ているおねえさんに直談判してまで、アップで写真を撮るうめちんの度胸と執念には、開いた口がふさがらなかった。どうして、そんなにしてまで・・・男の気持ちは理解しがたいものがあると思った。

 満足顔で、イパネマ海岸を後にバスターミナルへ戻る。サンパウロで地下鉄で宿に帰ることを考えるとリオ発夕方5時の、サンパウロ行き長距離バスに乗りたい。チケットブースには、5時半発のバスがあるが何故かデラックスバスで料金が高い。6時発で安いバスがあったが、6時発と言うのが引っかかる。悩んだ末に5時半発のデラックスバスに乗る事に。バスに乗りこもうとすると、バス会社のお兄さんが紙パックのジュースとお菓子のつめ合わせにイヤホンをくれた。なんだかうれしいサービスだと、バスに乗りこみ目を見張る。通路には赤い絨毯が敷かれ、椅子は豪華な花模様。自分の席に座ってみれば、なんとセミカマ(セミベット)タイプで広く、足元ゆったり。大きな毛布と枕が付いている。バスの後ろにはサーバーが置いてあり、熱々のコーヒーと冷たいミネラルウォーターが自由に飲める様になっている。前には、30インチ程の大画面テレビで映画をやっていた。先ほどイヤホンを使うと音も聞こえるらしい。たった5ヘアルしか違わないのに、なんだこのサービスの違いは・・・快適なバス旅は、ものすごく快適だった。あっという間にサンパウロに着いてしまった。しかも、時間通りに。余裕で地下鉄に乗り、ペンション荒木に到着。疲れはてる・・・

2000.9.10(日)