「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ブラジル編

2000.7.17(月)

 気持ち良く寝ているとガックンガックンとものすごい揺れが襲ってきた。どうやら、下船らしい。椅子の手摺に捕まり揺れに耐える。

 ベレンの土は、赤かった。雨が時々降ってくる。ちょっと肌寒い。船の中でカーゴのオヤジに途中の分岐点まで乗せていって欲しいと下話をしてOKをもらっていたので遠慮なくカーゴに乗せていってもらうことにしたのだが、カーゴの中には3台の車が乗っていて、牛次郎はその真ん中にいるのでベレンで置いて行く車と入れ替えをなければいけなかった。カーゴから牛次郎を降ろす時がやってきた。

 だが、エンジンがかからない。寒いせいかもしれない。船の中でアイドリング低かったしなぁ・・・みんなに手伝ってもらって前から無理やり押してカーゴから出す。そして、押し掛けに挑戦。行ったリ来たりするがなかなかエンジンはかからなかった。何回目かの押し掛けでやっとかかったが、何故か馬力が出なくカーゴの坂も登らない始末。半ば諦めが入っていたが「気合で乗せろ。途中までつれてってやるから」のオヤジの言葉に思いきりアクセルをふかしようやくカーゴに乗った。うめちんぐったり。雨は止み、空は、カラット晴れていた。

 揺れるカーゴに今までになく揺れる牛次郎。ブレーキがかかるたびに鞭打ちになりそうなくらいのガックン。そんなのを繰り返していたら、タイヤを止めていたベルトが外れたらしくカーゴから落ちそうになる牛次郎。よく見れば、ベルトのフックを引っ掛けていたカーゴの床が、牛次郎の体重に耐えきれず、破損したためにベルトが外れたようだった。みんなで唖然。オヤジにすごく謝る。太っ腹なオヤジはただ笑うだけだった。

 分岐地点のガソリンスタンドでカーゴのオヤジとお別れをする。とても、いいオヤジだったので、記念に写真をとカメラを出すとちょっと待てとトラックに戻り拭いても変わらないであろう褐色の顔をタオルで一生懸命拭いていた。

 相変わらずエンジンの掛かりが悪く、調子の出ない牛次郎。やっとのことでガソリンを入れ、ぶすぶす黒い排気を出しながら出発するが、いかんせん馬力がでない。たぶん、うめちんのクサイ靴下がいけないんだろう、可愛そうな牛次郎。反抗してるんだわ・・・と思っていると「あ、もしかして」突然叫んで、牛次郎を路肩に寄せるうめちん。エンジンルームの蓋を開けて、ディストリビューターのコードを入れ替えている。「あれ?それって右回りに上から1、2、3、4の順だって言ってたじゃない?なんで入れ替えるのさ」「うーん、そうなんだけど、なんとなく3、4のコードが始めさ、逆についてたような気がして・・・」そして、キーをひねると・・・調子よく1回で掛かった。走り出して見ると、ちゃんと坂を登るじゃないですかぁ。なんだ、うめちんの勘違いだったのね。また、どこか壊れたのかと思ってヒヤヒヤしまった。とにかく走るようになってよかった。

 それからは、調子よく走り出す。走っていたはずだが「なんか、変な音しない?」快調に飛ばしていたうめちんが言うので耳を澄ませてみると、カラカラ・・カラ・・ん?そう言えば変な音するねぇ、なんだろう?もっとよく耳を澄ませると、変な音は、下の方から聞こえて来る。なんか、タイヤの所から聞こえて来るヨ?路肩に車を寄せ見てみると、なんとキツク締めたはずのナットが数個、緩んでいた。こりゃ、いかん!急いで懇親の力をこめて締め直す。が、ちょっと走るとすぐまた緩んでしまう。

 よくみりゃ、ホイールの穴が削れて大きくなっており、ナットで押さえ切れなくなっていた。古いホイールを使っているのでしょうがないが、これでは、いつタイヤがすっ飛んでいくかわからない。と言う事で、近くの修理工場で大きめのナットを探すが、見つからず、どうしようかと考えた結果、修理屋にあった座金をあてがって締め直す事にした。これは、なかなか調子が良かった。

 でも、フォルタレーザまで約1600km。不安多い行程で、一体何時着くんだろうか?

 ブラジルの大地は広い。牧草地、沼地、ジャングル、どれを取っても広大だ。それにもましてどこまでも広い空が広がる。そのすべてが,夕暮れ時、絵に描いたような黄昏色に染まる。なんて美しいんだろう?心を奪われたように呆然と見つめ続けた。

 道沿いのガソリンスタンドに宿を取る。南米の街中じゃないガソリンスタンドには、大きなトラックが停まれるように大きな広場があったり、必ずと言っていいほどトイレにシャワーがついていて、ただで貸してくれたりする。しかも、日本ではありえないビールやアルコール類がガソリンスタンド内の売店で売っていたりする。24時間営業の所も多く、いつでも冷たいビールが飲めるのだ。これは、私達、貧乏人にはありがたい。

 と言う事で、取り合えずビール。一日、暑い中、運転をした後のキンキンに冷えたビールは格別に美味かった。こんなにビールが美味いと感じたのは久しぶりかも。ああ、ビールは至福の飲み物かもなぁ・・・

 
2000.7.16(土)