「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ブラジル編

2000.7.18(火)

 涼しい内に出発したいと思い、横で寝ているうめちんをたたき起こし、無理やり出発させる。すでに横に停まってたトラックは、いなくなっていた。朝日を浴びて走り出す牛次郎。今日もまあまあの調子。

 走り出して数時間。舗装道路に赤い土が露出した穴があるのを発見。不意の出現に急いでよけるが、片方のタイヤは、穴にはまってしまったらしく牛次郎ジャンピング。何だったんだ今のは?と思っていると、アスファルトが剥がれた赤い穴ぼこが無数に出現。終いには、避けようがない程の穴だらけの道に変わってしまった。ゆっくり、ゆっくり進む牛次郎。だが、穴の深さも半端じゃなく深く、しかも、アスファルトが剥がれた穴なので始末が悪い。アスファルト分の段差が悪路を更に悪路に変えていた。どの車ものろのろと、反対車線にフラフラ、路肩にフラフラ一方通行のように道を選んで走っている。途中、道を直す作業員に出くわしたが、彼らは、剥がれたアスファルトの穴ぼこを一生懸命赤い土で埋めていた。それじゃ、ダメだよ・・・叫びたくなったが、舌を噛みそうなのでやめた。

 やっと悪路を出た所で、うめちんから運転を変わった私。それは、間違いだった。悪路は終わってなかったのだ。先ほどより更にひどい悪路に化けていた。しかも性質が悪い。坂を下りきった所とか、カーブの先とか、不意打ちの様にやって来る悪路。一生懸命よけるが、避けようがない。疲れ果てて、またまたうめちんにバトンタッチ。ゲームをやってるみたいだぁとスピードを落とさず悪路に突っ込むうめちん。

 そして、ブシュ−、ババババと言う音と共にゲームオーバー。タイヤがパンクした。路肩に寄せてパンクを見るとなんと5寸釘がぶっつり刺さっていた。どうしてこんなものが刺さるんですか?誰かに聞きたかった。しょうがないのでスペアタイヤに交換。道沿いにあったタイヤ屋でパンクを直してもらう。

 気を取り直して出発。相変わらずの悪路だが、先ほどより良くなったような感じ。スペア−タイヤを止めるチェーンがタイヤからこぼれて、チェラチャラ言っていた。運転を交代する際にスペア−タイヤをチェックしたうめちんが叫んだ「スペア−タイヤふにゃふにゃだぁー」何故か、先ほど直したタイヤの空気が漏れていた。パンクは直ってなかったのだ。また、タイヤ屋に行く羽目に。幸い小さな村の近くだったのですぐにタイヤ屋を発見できた。のろのろとタイヤ屋の前に車を止め、タイヤを見せる。先ほどの所ではないところもパンクしていたらしい。早速直してもらう。

 そうこうしているうちに牛次郎の廻りには、たくさんの人だかり。大人から子供まで、村中の人が集まってきたのでは?と思えるほどの人数がそこにいた。そして、村を代表して一人の人があれやこれやと聞いてきた「どうして、ココがタイヤ修理屋だとわかったんだ?ポルトガル語が分かるのか?」「どうしてって、タイヤの看板が出てたから・・・私、ポルトガル語はあんまりわかんないよ。ただ、スペイン語だったら少し分かるけど・・・」そう、答えるとそこに集まった人々がそうかそうかとうなずく。

 「彼(うめちん)は、ポルトガル語を理解するだろ?」とうめちんを指差す。「ああ、たぶんちょこっとなら分かるじゃない」すると一斉にパンク屋としゃべっているうめちんを見て、そうかそうかとうなずく。「そうかそうか、で、どっから来た?どこへ行く?」「ベレンから来た。コレからフォルタレーザに行くんだ」「ほー遠いぞ」そうだそうだとうなずく野次馬。「夜は車の中に寝ているんだろ?道端でか?ご飯とかどうしてるの?」「いやーガソリンスタンドに寝てるよ。安全だし、シャワーとかあるし・・・ご飯は、コンロを持ってるから自分で作ってるんだよ」野次馬からホーと言う声が上がる。どんどん増える野次馬。まるで動物園のサルのような気分になってきた。

 「今日は、どうするんだ?どこのガソリンスタドで泊るんだ?」「いや、決めてないけど・・・」「それなら、そこのガソリンスタンドに泊っていけ、ここから先も道が悪いし、暗くなったら危険だ。そこのガソリンスタンドは、安全だしな」そうだ、そうだとうなずく野次馬。いつになく大盛況だろうと思われるタイヤ修理屋から、タイヤを抱えて出てきたうめちんに相談すると、野次馬はうめちんに引っ付いて行ってしまった。今度は、うめちんがターゲットらしい。

 やっと開放された頃には、夕暮れも終わり辺りは薄暗くなり始めていた。村の代表が言った通りにものすごい悪路が待っていた。暗闇に一瞬の雷光、そして静かな闇。次の瞬間、大粒の雨が音を立ててやって来た。前も見ないほどの大雨に最悪の悪路を必死に進む。遠くにガソリンスタンドの光が見えたときは、信仰もしない神に感謝した。ようやくガソリンスタンドについた時には、雨も小ぶりになっていたが、みんなぼろぼろに疲れていた。予定していた目的地までたどりつかなかった。後で考えて見ると100kmを5〜6時間かけて走った計算になる。一生懸命走っているのにあんな悪路じゃ全然先に進めない。ため息がでた。でも、無事で何よりと言う事で、取り合えずビール。

 
2000.7.17(日)