「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ブラジル編

2000.7.15(土)

 この船は、普通の客船と違いどこにも寄港せず、ダイレクトにベレンに向かうので、広いアマゾンの真ん中を走っていた。両岸が見えると言っても、小さくしか見えずたまに岸沿いを走るが速度は緩めないので、昼間は、たいして見るものもやる事も見つからない。暇なので、牛次郎の整備をする。

 まず、エンジンオイルやその他オイルの点検。エンジンオイルは、ちょっと少なめだがコレは大丈夫。ブレーキオイルも心配無い。ただ、クラッチオイルが相当減っていたので、コレは後で補充することに。ラジエーターに水を突っ込み、キャブレターのねじを締めなおす。先日つけたばかりのストッキングがすでに破れていたので、変わりにうめちんの穴の開いた靴下を使うことにした。

 「コレじゃ、臭くて走らないかもねぇ・・・」喉まで出かかったが、うめちんが可愛そうなので言うのは止めた。そして、エンジンプラグを外して、発火しやすいように頭にヤスリをかけきれいにする。そのついでにゆるかった電気をエンジンプラグに運ぶトランスレーターのコードをペンチでカシメてみる。「この中にクルクル回るものが入っていて、キーをまわすと回るんだよ。時計回りに回るからディストリビューターから一番遠いプラグから1、2、3、4ってコードを付ければいいんだよ」ヒョイヒョイとプラグにコードを刺すうめちん。

 一通りチェックして、エンジンを掛けてみる。調子よくセルが鳴り、1回でエンジンがかかる。ただ、なんだかアイドリングが低いような感じ、そう、すぐ停まってしまいそうな音しかしない。なんだかちょっと不安だが「うーん、なんで、アイドリングが低いんだろう?ちょっと寒いからかな?」ぶつぶつつぶやくうめちん。うーん、そうかもしれないと思うことにした。

 闇の中、満月が、アマゾン川を照らし出す。キラキラ輝く水面は、まっすぐに艀の一番前に向かって金色の道を作り出していた。シタールの音色を聞きながら、うっとりとその光景を眺める。コノヨニ、コンナケシキガ、アッタトハ・・・なんだか知らないが、涙がでた。

 
2000.7.14(木)