「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
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k日記タイ編 2001.2.2(金) 朝焼けのオレンジと山の稜線が綺麗だった。暖かい光がやってくる。がんがんに冷やされたバスの中で、そんな車窓をぼんやりと眺めながら夜が明けきるのを待った。そして、暖かくなるのを待たずに、バスを乗り換えろとの指示が飛ぶ。バスを乗りかえ、数分走ったところでまた乗り換え。朝日の中クラビー行きのバスが走り出した。でこぼこの未舗装の道を走ったり、でこぼこの舗装路を走ること、数時間。やっとクラビーに到着。南の島って遠いのね…やっとここまできたかと言う感じ。そして、ボート乗り場へ向かうトラックへ乗せられて、ついた先で2時間待ち。いつになったらピピ島に着くんだろうか? 「ティケット拝見。ティケットない人は泳いで行ってね」そんなチケット切りの冗談を聞きながら、ボートは水面をゆっくりと走り出した。徐々にスピードを上げて行くボート。青い空に入道雲。不透明なエメラルドグリーンから吸いこまれそうな深緑になっていく海。容赦なく照りつける太陽が、水面を鏡面の様にしている。なんだか、まぶしい・・・ ウトウトと、うめちんの膝枕でいつのまにか眠ってしまっていた私。気がつけば、目の前に絶壁奇岩が見事な大きな島が現れていた。どうやら、あれが目指すコ・ピピ(ピピ島)らしい。船は、ゆっくりとその島の桟橋へ向かって行く。 桟橋に停泊していた大型船に接続した私達の船。大型船を見ると、奴隷船のごとくたくさんの人が詰まっている。なんだこの船?これから出航かな?いや、みんな降りてるよ・・・島民らしき人もいれば、バックパックを背負った旅人らしき人もたくさんいた。ちょっと、こんなに旅人いて、宿とかないんじゃないの?なんとなくそう思ったが、そんな事はあるまいと余裕で下船。桟橋から見える魚の群れに大喜びしながら島へ上陸。やっと、やっとピピ島に着いたのだ。ここまで20時間近く。南の島は、遠かった。 さて、宿はどうしよう。桟橋にいた客引きをことごとく振り払ってしまったうめちん。やっぱり、ビーチの目の前がいいねなんて、桟橋がある湾の反対側の湾を目指す。途中、斜面にへばりつくように建てられた良さげなバンガロー形式の宿を覗いてみる。高いかなと思ったらそんなでもないので、空いているか聞いてみるが、惜しくも満室。とぼとぼビーチへ向かう。椰子の間を抜けると、白い砂とどこまでも遠浅の海が広がっていた。そんな贅沢な空間に建てられたバンガローを値段を聞きまくるが、どこもかしこも高くて手が出ない。しょうがないので、もう一度、桟橋のある湾の方へ戻り、海が見える宿を聞いて歩くが、安い所は満室、後は値段が高くて手が出ない。容赦なく照りつける太陽、重い荷物が肩に食い込む。湾と湾を何度も行ったり来たりするうちに、疲れはピークに達する。仏頂面の私を見てか「k、ここでジュースでも飲んで待ってってよ。俺、いろいろ聞いて来るから」私と荷物をダイビングツアー会社の片隅に置いて、人ゴミに飲まれて行くうめちん。 数分後、ニコニコしながら帰ってきたが「なんかね、この島って一泊3000バーツとか5000バーツとか言うリゾートが多いんだって。だから、安い宿って少ないらしいんだよ。なんか、ロングビーチには、確かに安い宿あるんだけど、ココからボートで行かなきゃならないらしいんだ…」ボートに乗ったら金がかかるし、もし宿がなければこっちに戻って来なくてはいけない。結局、高いものになってしまう。ロングビーチには行けないよ。そして、また、人ゴミに消えて行くうめちん。今度は、しばらく帰ってこなかった。少し風が涼しくなってきたような気がして、ふと空を見上げるとさっきまで真っ青だった空が、いつのまにか薄いオレンジ色になっていた。日が暮れる、このまま宿は見つからないのだろうか?今日は、ビーチで野宿かぁなぁ・・・呆然と空を眺める。なんか声を掛けられたような気がして、ふと横を見るとうめちんが帰ってきていた。 「安い宿あったよ。しかもビーチ目の前」目を輝かせて荷物を背負い、うめちんについていく。にぎやかなエリアを抜けビーチ沿いの道を結構歩いた所にその宿はあった。バンガロー形式でビーチが目の前。少し、ボロで湿気っぽいが、バンガローで400バーツとは安いので上等だと思った。部屋に荷物を置き、水着に着替えてチェックインをしに先にフロントへ向ったうめちん。何かフロントマンともめている。どうしたの?聞けば、先ほどうめちんが聞いたとき、フロントマンが「このバンガローは400バーツだ」と言ったのに今になって950バーツだといいはっている。そして「400バーツの所は、ビーチとは程遠いぼろい長屋でしかも満室だ」と言う。「さっき、あのバンガローの中で、ココは400バーツだと言っただろ」そう言っても「そんな事は言っていない」とニタニタしている。もう夕方だし行く所ないんだからココに泊るに決まってると足元を見るフロントマン。だましたな!!頭に来た二人。こんなだますような所に泊るか。信用できん所に泊ったって嫌な思いをするに決まってる。野宿の方がいいわ!と荷物をまとめてカギを投げ捨て、歩きだす二人。 宿を探して2時間、結局、メイン通りの宿に一泊だけして、明日、一番最初に聞いた山にへばりついたバンガローへ行ってみようといことにして、重い荷物を降ろした。ああ、ようやく長い一日が終わった… |
2001.2.1(木) |