「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ペルー編

2000.3.28(水)

 ティティカカ湖を8時頃出発。大量の食料と鍋、食器、ガソリンコンロを持ってタキーレ島へ1泊2日で釣りへ出かける。

 ゆっくりとゆっくりと緑色の水面を滑って行く。山間を抜けると小さいと思っていたティティカカ湖の本当の姿が現われた。何処までも続く水面に青い空がみごとに映えている。青い空、白い雲のコントラストがすばらしく綺麗。次第に緑色が透明を帯びてくる。甲板に寝転がると空が異常に近いことに驚かされる。陽射しが容赦無く降り注ぐ。ココは、標高3900m。空が近いのもうなずける。

 水面はいつのまにか透き通るような緑色に変わっていた。降り注ぐ陽射しを一身に受けて輝いている。幾重にも水面光が射し込み、光の線を作り出している。心が洗われるように澄みきっている。

 緑色の水面に、わら色の建物がぽつんと見えてくる。近づくにつれてだんだん大きくなってくる。そして、人が行き交い、子供が走りまわっているのが見えてくる。あれが、アシで出来たウロス島かぁ。島に上陸して驚くのが、何もかもアシで出来ているということ。家に始まり、船、しかもいま立っている土地もアシで出来ている。そして、地面は、船に乗っているように揺れていた。そうウロス島は、人口の浮島なのだそうだ。私達が降り立った浮島は作って8ヶ月と若い島らしく、所々陥没していて、よく見て歩かないと穴にはまって大変なことになる。たぶん観光用に作ったものだと思われる。裸足で降り立った、うめちんとパチプロとチャリダー3人。寝転がったり、座ったり、気持ちよさそうだった。そして、アシで出来た船、ドラえもん号にも乗船。浮島から浮き島へ。短い距離だったが、普通の船より揺れず快適だった。

 ウロス島を後にして、今度はタキーレ島へ。ますます、緑が深く澄みきってくる水面を走ること3時間。ようやく島に到着。入り口で入村料を払い、長い長い階段を登る。振り向けば、青いティティカカ湖が見渡せる。ますます空が近く感じるころになると空気が薄いのが感じられる。荒い息で昇りきるとアドベレンガで出来た茶色い集落が斜面にはりついていた。

 そしてその廻りには、畑が段々に作られている。道の途中では、短い幾重にも重ねたスカートに頭に紺色の布をかぶった女性が糸を紡ぎ、その傍らで赤い帽子をかぶり、腹巻きにチョッキを来た男が編物に勤しむ。声を掛けると女は、ひそひそと小声で答え、男はにこっとはにかむばかり。吹き抜ける風が気持ちよくなんとも喉かな風景だろうか。

 そうそう、男の帽子には意味がある。先の方が白く途中から赤くなっている帽子をかぶった男性は独身、全部赤の帽子は、既婚者のしるしなんだそうだ。昔からの伝統を守っている。ここは、他のペルーとは違う。そう、1つの国のようだと思った。

 宿を探さねばいけない。その辺にいる人に聞いてみる。すると、うちにいらっしゃいと2人の男性が名乗出た。ついて行くと、一軒の民家へまねかれ、ココだと言われて覗いた部屋は、かび臭かった。でも、大きなアシのベットに毛布が数枚。ちゃんと綺麗なシーツが掛かっていた。問題無いのでココにすることに。

 荷物を置いて、早速釣りに出かける。先ほど登った550段の階段を一気に降りて港へ。糸をたらすと人が寄って来るのは必ずでココもまれではない。糸を垂れて、数分。水の透明度の高さにハッと気がつく。底まで見えるし、魚がおよいでいないのもよく見えた。針につけた餌までよく見える。食ってないのもよく見えた。

 その辺で見ていた子に「魚っている?」と聞くと「ああ、いるよ。でも、もっと向こうだ」と湖の真ん中辺を指差す。うーーん、ちょっと考え、重い錘に変えたうめちん。思いっきり遠くにほおって見る。そして「あれよりもっと向こうか?」と少年に聞くと「ああ、もっと向こうだ」とこともなげに答えた。

 と、丁度よいところに手こぎ船がやってくる。交渉開始1分で1人1ソルで交渉成立。船に乗り込み、釣れるポイントに連れて行ってもらうことに。後ろに1本櫓がついた形のボートだが結構速く走る。島の側面にそってエッチラオッチラ漕いで行く。島の側面の急な斜面には、はりつくように羊が群れ餌を食べている。羊ってあんなところに住めるんだぁと初めて知った。

 釣り場に到着と言っても、もう一つの港だが、魚は、さっぱりやってこない。やっぱり無理なのか?船乗り達は、笑って眺めている。船をもう一度出してもらうが日が沈むまでには結局、1匹も釣れなかった。そして、ティティカカ湖に日が沈み今日の終わりがやってくる。

 急いで帰らないと・・・日が沈み暗くなる前に宿までたどりつかなければ・・・そう、湖の島には、共同の電気というものが存在しない。所々にソーラシステムを取りつけた家などがあるがそんなのはまれである。暗くなったら、ろうそく。いや、島の人達は暗くても道が分かるらしく、すたすたと歩って行ってしまう。やっと宿に着いた時には、すっかり暗闇。空には、満天の星がちりばめられていた。急いでご飯を作り、ろうそくの明かりで食べるご飯は、また格別の何物でもない。

 ろうそくを消すと漆黒の世界。空には、びっしりと星が犇めきあっている。見たことも無い星座ドモがよく見えた。流れ星が落ちる。いくつもいくつも降ってくる。いつまでもいつまでも時間を忘れるくらい眺めていた。最高の贅沢かも知れないと思った。

 いつまでもこのままの島でいて欲しいと心から願いたい。

 
2000.3.27(水)