「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記インド編

2001.5.3(木)

 そいつは、私たちが久美子ハウスに来た時からいた。スペイン語と英語とフランス語を話すフランス人だった。「俺は、音楽家だ」と言っていた。確かに彼の部屋から聞こえてくるギターの音色はきれいだった。「シタールを習いにインドにきた」そういって、うめちんのシタールの先生からレッスンを受けていた。いつも、練習していた。

 いつかの朝食のとき「グットモーニングって日本語でなんて言うの?」と聞かれた。「おはようって言うんだよ」と答えてあげた。ふんふんとうなずきながらおはようを繰り返していた。その横で、昨日、来たばかりのかわいい白人女性がふんふんといっしょにうなずいていた。彼女は、いろいろ聞きたがっていたようだった。日本と言うものに興味があるらしい。でも、彼女は聞いてこない。彼が聞いてくる。次いで答えていたが、変だな?と思いながらちょっと彼を無視して朝食に専念することにした。

 その日の午後、かわいい白人女性は、私たちの部屋の前のベランダで本を読んでいた。私は、パソコンに向かって何かをしていた。彼女に気を使って上下ある下の扉は閉めておいた。そこへ聞き覚えのある声がした。彼だった。彼女に話し掛けている。聞きたくもないが扉一枚では聞こえてしまう。ぜんぜん英語がわからない訳ではないから、困ったものだ。そのまま、そこでしばらく話をしていたが「夕食をいっしょに食べないか?」と二人でどこかへ消えていった。んーそう言う訳だったか・・・ピンっときてしまった。今朝の疑問は、彼は、彼女の気を引くために私をダシに使ったのだな。そう思った。夜中にトイレに行ったとき、彼の部屋の扉が少し開いていた。真っ暗だった。気にせずトイレに向かったが、ぼそぼそと話をしているようだった。多分、彼女は、その日のうちに食われてしまったにちがいない。そう思った。そのかわいらしい彼女はしばらくしてどこかに行ってしまった。

 ・・・つづく・・・

2001.5.2(水)