「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記インド編

2001.3.5(月)

 そのちゃんを連れて観光、観光。そんな思いで街にでた。いろんな物に関心を寄せる彼女の目が輝いている。私も旅のはじめはこんなに目が輝いていたのだろうか?いろんなものが新鮮に思えたのだろうか?長いこと旅に出て少し変わってしまった私・・・少しうらやましく思えた。何があるわけではないが、コンノートプレイスをとぼとぼ歩く。いつにもなく足がだるい。街歩きは疲れると思った。旅に出てからと言うもの、宿に沈没することが多いので、体がなまっているのだと思った。しばらく、重い足を引きずりながらぶらぶらする。

 穏やかな日差しが、今日、行われるタダコンサートへ行くためにバスに乗る。私たちが乗り込む前にもう発車し始まっているバス。急カーブも何のその、ものすごい勢いで走っていく。そんな中「んーあれに見えるは、インド門で・・・こっちがテレビ局・・・」そのちゃんの隣に座っていたシーク教徒オジさんが何やらいろいろ説明してくれた。

 1時間も走ったか?会場がある一角に到着。その辺の人に場所を聞き歩き出す。しばらく歩くと正門が見えてきた。どうやらここは研究都市みたいなものらしい。地図を見ると大学やら研究室やら学生寮など広大な敷地にたくさん詰まっている様子。警備員のオジさんにコンサート会場を聞くと「まっすぐ行って、サークルを右側曲がって一番大きな建物だ」お礼を言って言われたとおりにぽちぽち歩き出す。西日が目にまぶしい。

 一番大きな建物でどこのホールでやるんですか?と聞くと「ここを出て、メイン通りを左に行ってすぐ右に曲がって4ブロック行ったら左側にあるよ」へ?ここじゃないの?その辺を歩いていたオジさんにも聞いて見るが同じ事を言っている。とにかくこの建物ではやらないらしい。言われた通りに歩き出すが、なかなか見つからない。途中にいた警備員にも道を聞くと「2ブロック行って、左に曲がってすぐ右側だ」という。とにかく歩く。最後の警備員が言ったところには大きな団地があった。ボール遊びをしていた子供に尋ねると「ここをまっすぐ行ったところだ、もう、見えてるよ」と指を指す。ああ、あれか・・・コンサート会場の前の道のはるか向こうには、最後に道を尋ねた警備員が悠長に座っていた。どうして、あいつは遠い道のりを教えたのか?不思議に思った。さんざん歩かされて、へとへとになってしまった。

 西日も姿を消し、ぼんやりと闇が襲ってくる。花びらで模様がかかれた通路。菜種ランプの炎がゆらゆらと足元を照らす。思い思いの場所に腰を下ろす観客。ぼんやりとステージの上が照らし出され、幻想的な弦の響きに厳かに低音の声が響き渡る。見上げれば、薄青の空に一番星が輝いていた。たまに時代が交差したかのように飛行機が轟音を上げて飛んでいく。シャントゥールの軽やかな響きもタブラの軽快な響きも凛とした寒さと共に肌に伝わり、体中に染み込んでくる。ため息だけが後に残った。

 会場を出てすこし歩いたところにメインゲートがあった。かー、あの入り口にいた警備員何にも知らないんじゃないかぁ。なんで、ぐるっと遠回りさせるんだー。なんで、インド人はみんな遠回りさせるんだー!!叫びたくなった。

2001.3.4(日)