「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
||
k日記インド編 2001.2.23(金) 乾いた大地を走るバス。遠くには、円錐形の大きな山らしきものが見える。ガイドに載っていた砦らしい。狭い石の門をくぐるとたくさんの砦が現れ、先ほどの円錐形の砦の圧倒的大きさに目を見張る。斜面に小さく階段があり、山の天辺に見晴らし塔が見える。登れるらしいが、この炎天下のなか登るのは・・・という感じである。 円錐形の砦をぐるっとまわり猛スピードで山道にさしかかるバス。急カーブには倒れそうなほどのスピードに体を揺られ続けること、30分。エローラ石窟前に到着。あの猛スピードで思ったより早く着いた。炎天下の中にほおり出される二人。容赦なく照りつける日光のもと、石窟に向かって歩き始める。入り口から右の方へ向かい第1窟からみることにする。日差しをさえぎるものは、ちょっとした木陰と石窟の中のみ。石の照り返しも激しく、体調の悪い私は、すでにばて気味。やっと第一石窟にたどり着いた時には、その場に座り込んでしまった。彼らは、なぜこんなところに同じものをたくさん作ったのか?岩壁にぽっかりと開いた石窟の中は、奥に行くほどひんやりと涼しく、座ると石の冷たさが伝わってくる。一番奥の部屋には石像が静かに腰を下ろし安らかな目で私たちを見据える。どの石窟もそんな感じだった。 第16窟のカイラーサナータだけは外人が入場するのに一人450ルピー(10ドル)もの大金をとる。そんなの払いたくない私たちは、カイラーサナータの脇から崖を登る。次第に石の尖塔が見え、カイラーサナータの全体が見えてくる。そのすばらしい彫刻に圧倒される。こんなものノミだけで作ってしまうなんて・・・宗教を信じるということは、こんなものまで作り上げてしまうのか?宗教というものが、恐ろしく感じた。 エローラ石窟唯一のレストランで昼ご飯を食べた後、入り口から左のほうの29窟を見に行く。先ほどより日差しがきつく感じられる。すでに肌はぱりぱり、唇はがさがさになっている。石窟の中も、もはや涼しくはなかった。むわっと熱気が立ち込めている。第29窟は、今まで見た石窟のどれよりも大きなものだった。中央の祭壇に白と黒の垂れ幕がかけられ未だに信仰の跡が見受けられる。石像も大きなものが多い。そのまま、裏道を通って、第28窟を見る。左側の第17窟〜第29窟は、遠いからか?あまり人がいなく、管理のおじさんも見当たらない。のんびりと第25窟あたりまで見ていたが、同じようなものばかりなので、そのまま崖を下り入り口への最短道路を歩く。途中、前方をピヤーと何かが横切っていく。なんだ?と行く手に目を向けると土手の上の民家に3匹の白い猿が座っていた。そして、おもむろに窓を押し開け、何かまさぐって、何かを口に運んでいる。しばらくするとぽかーんと口を開いて見ていると、そのまま民家に入っていってしまった。いいのかな?猿ども・・・ゆっくりと歩き出す。 入り口にも大量の猿がいた。人間に臆することなくどうどうと座って毛繕いしたり、窓のあいた車に乗り込み運転席に座って休んだりしている。写真を撮ろうと近づくとフギーと歯をむき出して威嚇してくる。かわいいがちょっと憎たらしい。 西日が乾いた大地をオレンジ色に照らす。乗合ジープにぎゅうぎゅうに押し込まれ、エローラ石窟を後にする。乾いた風が肌、喉にまとわりつく。ああ、冷たい水が欲しい・・・ |
2001.2.22(木) |