「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記ホンジュラス編

99.12.8(水)

 コンコン、コンコンとドアを叩く音がする。誰?と返事をすると部屋の掃除はどうするの今日も泊まってくの?とドアの向こうで大声で女の人がしゃべっている。時計を見ると朝の10時過ぎだった。今日も泊まるから掃除しなくてイイよと言う前にどこかのオヤジが「そこはチノの部屋だ。今日も泊まってくって言ってたぞ」と勝手に代弁してくれたおかげで、また眠りについてしまった。

 昼過ぎもそもそ起きだして、街に出かける。道は狭く、ひっきりなしに車が走っている。やはり排気ガスが凄く嫌な感じだ。何処をどう歩っても嫌な感じのチノとかチニートいう言葉しか聞こえてこない。人々も何処か陰険な感じがする。

 ホンジュラスのお金レンピーラがないので銀行へと向う。昨日、ホテルの近くの銀行でチェックを両替しようと銀行めぐりをしたが、ことごとく断られ最後の銀行で「チェックは、セントロのオクシデンテ銀行でしか取り扱ってないんです」だそうだ。と言うことで、セントロのオクシデンテ銀行に行ってみた。

 100ドルのチェックしか持っていない私達は、ちょっと考えた。100ドル=1400レンピーラになる。でも、あとこの国に何日いる?そんなにレンピーラあってもしょうがないよと思い、ドル紙幣で30ドルだけ両替しようと思いとどまった。

 紙幣ならと、目の前にあったロイズ銀行で両替できるか聞いてみると・・・天下のロイズ銀行がNOと答えた。じゃあ、オクシデンテ銀行に行くしかないのねとオクシデンテ銀行のカウンターでこれを両替してくれと30ドルだすと、あっさりとNOの答えが帰ってきた。なんで?と聞くと「ここでは両替はやってない。ここを出て左にあるって行くと両替できるところがあるからそこに行って」だそうだ。ここは、本当に銀行か?と疑問に思ってしまった。なんかたらい回しにされてない?とかホンジュラスの銀行は終わってるとかちょっと不機嫌モードで銀行を出たところになぜか都合よく両替商が立っていた。めんどくさくなったのでタイミングのいいこの両替商で両替してしまった。

よく見ると、銀行の周りにたくさんの札束を抱えたオジサンが銀行の方をうかがっている。結局、何処の銀行でも両替を断られオクシデンテ銀行にやってくるがこの銀行でも両替が出来ないでしかめっ面で銀行から出てくる輩がたくさんいる証拠だった。

 懐もあたったまり、街をぶらつき一軒のコーヒー屋で一息ついて率直な感想「ここは、首都には見えないような街の作りだが、ちょっとセントロを離れると危険な匂いがするところと排気ガスだけは首都並みだ」と思った。

 日が傾きかけた頃、私達はさんざんセントロを歩き廻り、排気ガスの臭いとつかれに支配されていた。

 帰り道に大きなメルカドを発見したので疲れを押して夕食の材料を買って帰ろうと、大きなメルカドに入っていった。どこまで行っても洋服屋しか見当たらない。大きなおねえさんや服の山を押しわけ、ちょっと広い通りにでると今度は、靴屋の通りだった。

 行けども行けども靴の山と大きく強そうなお姉さんばかり・・・腕をつかまれ「なにさがしてんの、買って!」と言われると一瞬たじろいてしまう。「いらない」とおじおじ言うと「なんで」と聞いてくる。腕は、放してはくれない。「だって、持ってるもん」と思い切り腕を振り払って逃げると、ぐはははと怪獣みたいに笑っている。こわかった。

 そんな、恐怖の通りを抜け出すとやっと生鮮食料のコーナーに出くわした。野菜、くだもの、肉、魚、一通りのものが売っていた。今日は、何を食べようか?と悩んでいるうちに魚屋にであった。うめちんが立ち止まって見ている。横顔を見ると、魚をうらめしそうに見ている。ああ、今日は魚だなぁと思っていたら、案の定、値段を聞いて交渉していた。「ねえ、これムニエルみたいに焼いて食べようよ」と目が輝いている。これはもう何を言っても魚料理だなと思い、反抗するのを止めた。

 金を払って小さくカットしてもらい魚を受け取り「さあ、帰ろう」とうめちんの方へ振り向くと、今度は大きな樽を覗きこんで気味悪いくらいにうはうは笑っていた。な、なに?と樽を覗きこんで理解した。たくさんの蟹がキシャーとはさみを上に突き上げてわさわさ動いていた。うめちんは、動く蟹がおもしろく見ていたが、おいしそうなので食いたくなったのである。予感的中!!彼は、早速、蟹の値段を聞いていた。「ねね、蟹汁にしよう。買ってイイでしょう」と絶対買うという顔で聞いてくる。そんな顔で聞いてこられたら反対しようがないので「買えば」とだけ答えたら、うれしそうに一番大きな蟹を選んでいた。

 宿に帰るとフロントでジジイどもが飲んでいた。なぜか知らないがこの宿は、ジジイが多い。経営者も真っ白く色が抜けきった、そう、墓場から起きあがってきたような顔をしているジジイであった。最初、奥の部屋から出てくる彼を見て一瞬おじけずき、レセプションの荒れ具合からホテルは廃業、今はただの廃墟のように思えたくらいだ。泊り客・・・いやもう住人みたいな人達も年寄りが多い。言うなれば、私設老人ホームのようなものだろうか?と思ってしまった。

 街を歩くとどっとつかれる。ビニール袋をかぶりごそごそ動いている蟹を横目にこいつを料理するのか・・・と思ったらまた、どっと疲れが沸いてきた。最後の力を振りしぼって蟹と格闘の末、蟹の味噌煮が出来かがった。味噌煮と言っても味噌汁に蟹が浮いているだけだが、蟹はうまかった。魚は、どうやら川魚らしく泥臭かった。失敗したねなんて言いながら泥臭い魚をしょうゆを多めにかけてたくさんのご飯といっしょに口に放りこんで平らげた。

 疲れが頂点に達し、お腹もだいぶ脹れると究極に眠さが襲ってきた。眠さには勝てないので、眠ってしまわない内にパソコンをしまおう・・・

 
99.12.7(火)