「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記エクアドル編

2000.6.6(火)

 朝、車の持ち主の家へ向かう。遠く、美しい白い雪山が青い空にくっきりと浮き上がる。そんな風景を眺めながら、南へとタクシーは走って行く。すーっと速度が遅くなるタクシー。ふっと路地の歩道を見ると、手を振る一人の男がいた。車の持ち主が大通りまで迎えに来てくれたのだ。そして、車とご対面。

  持ち主と持ち主の奥さんと持ち主の娘、それに私達4人を乗せた車は、一路シティーバンクへ。 シティーバンクで、青山さんのトラベラーズチェックを現金化する。2000ドルものチェックをすぐ替えてくれるのだろうか?しかも、すべて5ドル札でとの車の持ち主の希望も通るかどうか?疑問に思いながら待つ。

 「君の名前はなんて言うんだい?」と車の持ち主が落ちつかなげに聞いてきた。「篤史、梅原篤史って言うんです。紙に書きましょうか?あなたの名前は?」すると「セグンド・バカ」二人で顔を見合わせる。「え、あなたの名前ですよ」「だから、セグンド・バカっていうんだ。セ、グ、ン、ド・バ、カ」「・・・」。名前がセグンド・バカ(スペイン語での意味は、第二・牛)とは、驚きである。

 だって、昨日の夜、あの車をどういう風に改造しようか話し合った結果、牛にしようと決まったばかりだったし、第二・牛と言う名前事体にも驚いた。笑いを堪えるのに必死である。「イヤー、5ドル札はやっぱり無理だから、10ドル札にしてもらったよ。でも、何の問題もなく2000ドルすんなり出てきたよ」と札束を抱えてやってきた青山さんに、セグンド・バカの話をしたらうれしそうに笑っていた。「やっぱり、運命なんだよ。あの車を牛にするのは・・・はっはっは」。大金を持っているので辺りに注意を払いながらシティーバンクを後にする。

  車に乗りこんだ、セグンド・バカ。「俺を安心させてくれ」とつぶやき、自分のメインバンクに車を走らせる。なぁんだ、銀行にお金をいれるんだったら、何も全部5ドル札じゃなくてもよかったんじゃないか、それにこんな危険を犯すのなら、シティーバンクからセグンド・バカの口座へ直接振りこめば済んだ事じゃないですか・・・混んだ銀行から帰ってこないセグンド・バカを待ちながらそう思った。熱い車の中で待つこと1時間・・・興奮して帰ってきたセグンド・バカ。やけにうれしそうな顔をしていた。当たり前か・・・

  そして、裁判所へ。天秤のマークが張られた入り口を入るとたくさんの人が忙しそうに歩きまわっていた。入ってすぐの窓口で、書類作成の代行を頼む事に。パスポートのコピーと運転免許書のコピーを取り、書類にパスポートナンバーと自分のサインをする。それを持って、審査をしてもらう。そして、車の価格に対する1%の税金を中央銀行の窓口で払って売買契約が成立する。めでたく、売買契約書と税金の領収書を手に入れた。

 車を置く場所がない私達。どうしようかと悩んだ末に、ホテルスクレの従業員カルロスの家に置かせてもらうことに。カルロスに話をしたら2つ返事でOkしてくれた。「4時に宿で待ってるから、いっしょに俺の家に行こう」と昨日言っていたにもかかわらず、4時に宿に行くと、カルロスの姿はどこにもなく、自宅に電話をしてもらったにもかかわらず彼は、とうとう現われなかった。仕方がないので、セグンド・バカに事情を話し、今日もセグンド・バカ宅に置いてもらうことにして、今日の作業終了。

 
2000.6.5(月)