「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
||
k日記ブラジル編 2000.8.13(日) アフリカ起源の黒人密教「カンドンブレ(Candomble)」をここに来たら見たいと思っていた。インフォメーションでもらったイベント情報に「Fiesta Ewa AM 11:00」とあったので行ってみることにした。インフォメーションの人に場所を聞いたがよくわからないといわれたので、住所を頼りに車を走らせる。さんざん迷った挙句、テレイロの看板を発見したが、看板の矢印の先には、土手にへばりつくように長い階段があるだけだった。 偵察に行った猪飼さんが、褐色のまるまるした少年を連れて戻ってきた。「この住所の通りって、この階段なんだって。だから、大回りしないといけないらしい。この少年が案内してくれるって」そうですか・・・ 褐色の少年の案内で、細い入り組んだ路地を奥へと進む。「ここだ」と、どんずまりの路地を指差し、少年は親指を立てニッと笑った。そこには、白い壁に海色のドアがよく映える大きな家があった。高台の見晴らしのいい敷地の片隅には、一段高くなった円形の場所に、数個の壷や皿、バナナの皮にご飯を盛った物が置いてある祠らしき物がある。そんな空間をゆっくりと鶏が歩く。 建物に足を踏み入れる。広い空間には、そこそこに、祠らしきものが見える。家の中は、よく風が通った。風が通る度に天井にビッチリ張られた、白い紙がサワサワと音を立てる。 突如、遠くの青い空で空砲が鳴り響く。すると、返事をする様に、こちらでも空砲を撃つ。何度目かの空砲の後、突然、白いバイ―ア服を着た褐色で割腹のいいオバチャン達が、見晴らしのいい所に立ち、歌を歌い始めた。 「キエ―」正面の階段から奇声が聞こえる。花の入った籠を持った小さな女の子を先頭にたくさんの人が階段を登ってきていた。よく見れば、裸足で、目をつぶり、手を後ろ腰に当てている。階段を登りきると、体を振るわせ、奇声を発し倒れ込む人までいた。そんな人達が、私達めがけてゆっくりと歩いてくる・・・突然のことに焦る私。開いた口が閉じないまま、呆然と立ち尽くす。ハっと我に帰り道を譲る。別な建物のドアでお辞儀らしきものをして、祭事をする建物の中に吸われていく、いっちゃった人達・・・真ん中に立っているオブジェの回りをぐるぐる回っている。 最後のいっちゃった人が祭事をする場所にたどりつくと太鼓の音が鳴り始めた。すると、一斉に何かに取り付かれた様に同じ踊りを踊り出した。軽快に、激しく・・・時折、「キエ―ーー」と奇声を挙げ軽いお辞儀をしながら足を振るわせてたり、倒れ込んだまま痙攣したりしている人を巫女さんが抱擁し、助けている。 1時間ほど踊り続けていただろうか?私の開いた口はふさがることはなかった。お菓子とジュースをもらい食べていると、奥から先ほど踊っていた人達が涼しい顔でこちらに向かってくる。そして、なにくわぬ顔で建物を出て行く。普通に戻ったらしい・・・本当にこの人達はトランスしていたんだろうか?今まであったのは嘘のように祭事は終わってしまったらしい。 何だったのだろう?一言でいうとそんな感じだった。そして、サルバドールを後にする。一路、リオ・デ・ジャネイロへ。 夕方、大地に雨が降る。一瞬のうちに闇が訪れる。無理をしないで、早めにガススタに入る。小雨になったのを見計らい、ご飯を作る。火をつけようとしゃがみ込んだうめちんが「ありゃ?なんだ?」と言いながら、運転席側に向かいしゃがみ込んで何かを見つめていた。そして「明日、メカニコに行かなくちゃ・・・」そうつぶやいた。「なんで?」と問いながら、うめちんが見ていた車の下を除き込んで見ると、ポタンポタンとガソリンタンクからガソリンが漏れている。うわゎゎーなぜ?先日、直したばっかりなのに・・・よく見ると、タンクを支えている鉄の金具がタンクに食い込んでタンクが破損していた。振動か何かで、クッションのつもりで挟んでおいたゴムの敷物が無くなってしまっていた。その為、満タンにしたとき、重みでタンクに食い込んでしまったようだ。最近、調子よく走っていたのに・・・取り合えず、漏れているガソリンがもったいないのでバケツを置いておく事に。 雨の雫が牛次郎に当たりポタポタと音を奏でる。雨がやんだ静けさのなか、ガソリンがポタ、ポタと落ちて行く。ついでに「むにゃ〜、音がうるさいからちょっと移動した方がいいかも・・・」猪飼さんの寝言もこだまする。移動しても音は消えないよ、猪飼さん。プップッ・・・ |
2000.8.12(土) |