「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
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k日記ブラジル編 2000.7.7(金) 警官が朝礼をしていた。偉い人が何か言っていた。相変わらずエンジンのかかりが悪い牛次郎。お尻をみんなで押してあげたら1回でエンジンがかかった。どうも朝は調子がでないらしい。牛次郎は、低血圧か? ガソリンを入れて昨日逆戻りしてきた道を再びマナウスに向けて走り出す。一度エンジンがかかると快調な牛次郎。順調に渡し舟の所に差しかかる。昨日の事件を知っている人達が「オイ!昨日の怪我人はどうなった?」「ああ、二人は助かったようだけど一人はもうだめだったよ」「そうか・・・今日は船賃いらないから。船のキップ切りに事情説明しておくから」そうですか、ありがたくお受け致します。無事に川を渡りきる。どんどん走る。 昨日の事故現場に到着。ちょうど、事故車をレッカーで引き上げる作業に取り掛かろうとしている所だった。数人の警官とどこから来たのか数人の野次馬がたむろしていた。一人の警官が私達にあいさつをしてきた。そして、事故の検証の結果をジェスチャー付きで話してくれた。 「マナウス方面から走ってきて、この辺りでハンドルを取られブレーキをかけたらしい」なるほど、路肩に急ブレーキの跡が黒く残っていた。その後、止まりきれずに路肩の外に転落、二転三転して、今車がある所で止まって炎上したんだね。ほら、車の部品が散乱しているだろ」急ブレーキの跡が消えた所から車が止まった所までゆうに20、30mはあるように見えた。そして、確かにマフラーやドアの中板など細かい物から大きな物まで散乱していた。「あの亡くなった奥さんの左横腹に大きな傷があっただろう?それは、ほれ、この木がつけたものだろうね」指差す方向を見ると樹木径5cm程の木が斜めに切ってあって端が尖ているものが、ヒョコんと飛び出していた。ガがガがガ−車を道路に引き上げる。どこのメーカーの車かどんな車種かもわからない程に破壊されていた。タイヤは燃え尽き、ホイールだけが残っていた。事故の悲惨な状況が目に浮かぶようだった。恐怖が背筋を襲った。亡くなった奥さんの御冥福を祈り、警官にあいさつしてその場を立ち去る。 いつになく慎重に運転するうめちんと青山さん。アクセルを踏む足に遠慮の気配が見える。でも、そんな事は、すぐ忘れてしまうのが人間。すぐ、スピード狂に戻っていった。途中赤道広場によって写真を撮り、マナウスまで300kmがんばれは、今日中についてしまう所までやってきた。澄んだ湖には薄い青空にオレンジ色が妙に混ざり合った空がくっきりと映し出されていた。枯れた木々が寂しそうにぽつんとたたずみ夜が来るのを待っているようだった。このまま、マナウスに行ってしまうか?それとも、今日はその辺で野宿するか?悩むところだ。 すると運転していたうめちんが「ねえねえ、このままマナウスに行っちゃってもつまんないと思わない」うーん、それも一理あるかもしれない。「コレから急いでマナウスまで走ってもさ、着くのは夜の10時か11時でしょ」ふむふむ、そうね。そんな時間に着いてホテル探すのも大変だし、仮に野宿するのならマナウスよりこのジェングルのほうがいいかもしれない。 「それなら、その辺に野宿して、明日の昼間、マナウスに行った方がいいと思わない?アマゾンで野宿だよ。ジャングルを堪能できるよ」そうね・・・なんとなく賛成。じゃあ早速とばかりに適当な横道を探し未舗装の凸凹道を少しジャングルに入ってみる。前方に大きな大木が転がりそれ以上行けなくなっていた。なんとなく故意に置かれたような大木を見た私。これって行っちゃいけないって言ってる様に思うんだけど・・・なんかあるんじゃない?素直にそう思った。当然、車は、そこで止まった。 大木は、押しても持ち上げようとしてもびくともしなかったので、取り合えずここで野宿する事に決める。車を降りる。突然「うぎゃ、痛い!!」飛んでその場から逃げるうめちん。「どうしたの?」と車を降りると「そこから早く逃げた方がいい」「へ?なんで・・・きゃ!!痛い」足の指に激痛が走り、急いでその場から逃げる私。足を見ると小さな蟻が数匹たかっていた。そいつらが私を敵だと思って噛んだのだ。こんちきしょうとばかりに蟻を潰すうめちんと私。足の指にじんわり痛みが残る。足元をよく見ると2cmはあろう頭でっかちの蟻に私の足を噛んだ数ミリの小さな蟻など様々な蟻が這いまわっていた。これは、靴をはかねば・・・慎重に靴を取りに車に戻り安全な場所に帰ってくる。 「ジャングル探検に行こう!!」先ほどの蟻の攻撃から立ち直ったうめちんが、行こう行こうと叫んでいる。「そうね、いこうか」と男どもが用意をはじめたその時「あ、ハマダラ蚊だ!!ねえ、うめちゃん。これハマダラ蚊かハマダラ蚊の仲間じゃない?」猪飼さんの叫びに、どれどれと車に向ううめちん。猪飼さんが仕留めた蚊を見ると、普通の蚊より一回り大きく刺し口が相当長いもので、猪飼さん曰く「後ろ足が長くって、普通の蚊と違ってお尻を上げで止まってたんだよ」そして「ココにいるのは危険だ。マナウスに行こう」全員一致で、即、退散。マナウスに向けてその場を離れた。 闇が辺りを被うと月が、ジャングルを照らした。車を停め、空を仰ぐ。今日は、七夕。天の川が見えるかと思ったが、月が邪魔をして天の川は見えなかったが、強く輝く星は、満天に輝いていた。彦星と織姫は会えただろうか? マナウスの街に差しかかる。安宿を求めてセントロへ。公園では、夜遅くだというのにたくさんの人が飲んだり踊ったりしていた。なんか、活気がある街だと思った。ガイドに載っている安宿街をめざす。そして行きついた所は、妙にせっけんの匂いが漂い、小さい布ッ切れを胸に当てたスマートなおねえさんがゴロゴロいるラブホテル街。見る部屋、行く部屋、どれもコレもダブルベットで形が丸かったりする所だった。私達夫婦はここでも何の問題も無いのだが、青山さんと猪飼さんは難色を示していた。ダブルベットに男二人はねぇ・・・だろうなぁ。 結局の所、今日は宿を取らずビールとジュースが売っていて、トイレもシャワーも貸してくれるガソリンスタンドで寝る事に話が落ち着く。やっぱり、こうなるのね・・・外は涼しいが車の中は、蒸し暑い。歯軋りと寝言を聞きながら、マナウスの夜は更けて行く。 |
2000.7.6(木) |