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■ケシの実

ケシの実（ポピーシード）は、ケシ科ケシ属の一年草の植物の種子を乾燥させたスパイスです。
「ケシの実」（＝ポピーシード）と言われていますが、それはケシの種子のことを指しています。
ゴマよりも小さく、色は黒いものと、白いものがあり、ナッツ類の一種になります。

ケシの英語名はポピーと呼ばれています。
ポピーといえば、春先に、黄色、オレンジ、赤、白、ピンクといった、可愛らしい小ぶりな花を咲かせる植物として知られていますね。

ケシと言えば、アヘン（阿片）の原料が採取できることでも知られていますが、園芸用、食用のケシと、アヘンが採取できるケシは別種になります。

日本では、七味唐辛子の一部や、アンパンの上に振りかけられているツブツブが、ケシの実として、よく知られています。

日本で販売されているケシの実（ポピーシード）は、発芽しないように加熱処理がされているので、それを元には栽培ができません。
そして健康にも害はありませんので、ご安心ください。

インド料理では

日本ではアンパンの上に振りかけられているイメージの多いケシの実ですが、インド料理ではカレーのベースに用いられたりします。とくに、 「コルマ」などのクリーミーな料理ではカシューナッツやピーナッツ、生クリームなどと一緒にミキサーに掛けてペースト状にし、リッチなコクを演出します。

名前と種類

日本語のケシは英語ではポピーと呼びます。

園芸種であるのは、ヒナゲシ、英語ではコーンポピーと言われています。

アヘン（阿片）が採取できるケシは、日本語ではアヘンケシと呼ばれ、区別されています。英語では、オピューム（阿片）ケシと呼ばれます。

ちなみに日本では、アヘンケシ（オピュームケシ）の栽培は原則禁止されていて、厚生労働大臣の許可を得ず栽培してはいけません。

■歴史

ケシ、ケシの実の歴史は古く、紀元前5000年頃のスイスの遺跡からケシの種子が発見されましたが、使用用途は不明です。

紀元前3000年頃、シュメール人はケシを「歓喜、至福をもたらす植物」と呼んでいました。シュメール人が残した石版には、分泌液の採取方法などが記されていたそうです。

紀元前1500年頃の古代エジプトの医学書であるハピルスには、ケシは、鎮痛剤、睡眠薬として記載されています。
また、ケシの乳液は、赤ちゃんの夜泣きも治すと記されていたようです。
しかし、ケシの乳液というのは、アヘンの原料です。
現在の認識からすると、考えられないような薬用としての使用方法ですね。

ケシの乳液を採取して、乾燥させたものが、薬用鎮痛、鎮静剤としてのモルヒネとなります。
ケシからアヘンを採取し、モルヒネを抽出します。そのモルヒネを化学的に変化させたものがヘロインになるのです。
このケシという植物は、使い用途によっては、薬にも麻薬にもなるのですね。

その後、ケシは、ギリシャに伝わり、ローマ帝国を経てヨローロッパ全土に広まりました。
そして、大航海時代にアヘンの原料として世界各地に広まりました。
イギリスの植民地であったインドで栽培が始まり、生産されたアヘンは中国へ輸出されて大きな利益をもたらしました。
その後、歴史的にも有名な「アヘン戦争」につながるのです。

■原産地

地中海地方、東ヨーロッパ原産とも言われていますが、野生での原種が発見されていないため、原産地はハッキリとしていません。

日本では、平安時代に、ケシの種子を焚いて、その香りを衣服に染み込ませたということが「源氏物語」に記されています。

ケシはインドから日本に伝来し栽培が始まりました。
室町時代の南蛮貿易によるものだと言われています。
かつては青森県の津軽でケシの栽培が盛んでしたので、通称「津軽（ツガル）」という俗名で呼ばれていました。

■香りと味は？

ケシの実の食感は、噛むとプチプチとしています。
味わいは、くるみに似ていて、焼くと香ばしいナッツの香りがします。

パンや、マフィン、クッキー、ケーキ、七味唐辛子、などの料理で使用されます。
サラダなどに振りかけても良いでしょう。

インドでは、カレーやチャツネにも使われます。

■含まれる成分や効能

ビタミンB群、葉酸、ミネラル、カルシウム、マグネシウム、鉄分。食物繊維、オレイン酸などが含まれています。

豊富なオレイン酸

ケシの実に多く含まれる、オレイン酸は、オリーブオイルの主成分としても知られているものです。

このオレイン酸には、血中の善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす働きがあり、町内の健康を保ってくれる作用があります。
また、オレイン酸は、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防し、心疾患や脳卒中などの発症リスクを下げる効果があります。

豊富な食物繊維

ケシの実（ポピーシード）の20パーセントほどが食物繊維でできています。
整腸作用や便秘改善、肌荒れにも効果があり、オススメです。

心を落ち着かせるアルカロイド

ケシの実（ポピーシード）には、微量ながらアルカロイドが含まれています。
このアルカロイドは植物由来の天然成分で、コーヒーなどにも含まれるものです。

イライラや心を落ち着かせる効果があると言われています。

ポピーシードは、麻薬と知られるアヘンを抽出する実の部分ではなく、種子の部分なので、ケシの実（ポピーシード）に含まれるアルカロイドは、とても少ないので、ケシの実（ポピーシード）を大量に摂取しても中毒になることはありません。

■保存方法

密閉容器に入れて保存してください。
直射日光、高温多湿をさけた冷暗所が望ましいでしょう。
冷蔵庫内での保存は、出し入れの時に結露ができ、湿気やカビの原因にもなります。
できれば、常温で保存するのが良いでしょう。
どうしても冷蔵庫内で保存する場合は、使用の際に、冷蔵庫から出し、蓋をしたまま常温になるまで待ってから使用すると良いでしょう