「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

海外モバイラーに聞く1〜藤井 洋介さん〜 99.9.13

 ウメが昔海外を放浪して歩いた時は、インターネットなんて影も形も無かったのですが、今回米国、メキシコに来て見たらすっかり状況が変わっていました。4年前にネパールに居たとき、カトマンドゥのダウンタウン(タメル地区)エリアで一軒インターネットができるところを発見して、喜び勇んでインターネットやっていた頃は天と地の差です。

 さて、私は今メキシコの日本人宿「ペンションアミーゴ」に泊まっているのですが、長期旅行者で日本と連絡のためにインターネットを使っていると言う方は結構居ます。そういう方々は私達の様に機械を持ち歩くわけではなく、各地のインターネットカフェに行きYahoo!Mail等のWebMailサービスを使用して、ローマ字のみで通信しています。先日登場してもらった林田さんも、行った先々のインターネットカフェで日本のみならず、タイやアメリカをはじめ世界中と通信しています。

藤井 洋介さん(27)

その場合の通信方法は、ただインターネットカフェを使うと言うだけなので特に書く事も無いのですが。ペンションアミーゴで海外通信暦5年以上と言う藤井さんに会いましたので、さっそく話を聞いてみました。

ウメ(以後U)「何で海外モバイルを始められたんですか?」

藤井(以後F)「いや、いつもNIFTYとかのフォーラムに出入りしたり、メールとかやっていてそれを海外でもやりたくって。」

U「なんか、苦労されたとか、面白い話とかあります?」

F「5年くらい前、私、IBMのThinkPad220って言うの使ってたんです。しってます?」

U「知ってます知ってます。」

F「それを使ってアジアでモバイルしてたんですよ。で、普通の人だったらホテルとかに泊まるから電話あるけど、僕ら電話あるようなホテルには泊まらないじゃない。」

U「うん。泊まらない、泊まらない(^_^)」

F「そうすると、街の電話屋とかに頼むんだけど、やらせてもらって日本語が画面上に出て来たりすると、『おまえ!!国際電話かけただろう!!』って疑われたり。やってないって言っても、ぜんぜん信用してくれなかったり。あと、公衆電話でやってたら、人が集まりすぎたり。人が人呼ぶんだよね。そいつらがずっと見てて、通信できた後、画面に日本語が出るとみんな「おおー」とか言うの。」

U「後は?」

F「やっぱりそんな時でも回線状態の良いところからかけたいから、街中モジュラージャック探して歩いて。レストランとか行っても、目が泳いできょろきょろしてるの。レストランにモジュラージャックがあったりすると、そこで接続して良いかどうか交渉して。」

U「凄いなあ。そこまでやる。それでレストランでは回線貸してくれるの?」

F「いや。ぜんぜん。(爆) あとは、接続するときだけ良いホテル借りたり。なんか、月の生活費用が2万円ぐらいしか掛かっていないのに、接続代で4万掛かってた事もあるよ。日本に国際電話かけたりしたもの。」

U「ひえーーー。なんでそこまでやるの? お金かかって仕方ないじゃない。」

F「いや、趣味だから。もう、今はやんないけど。今は、どこにでもインターネットカフェあるしね。」

U「インターネットカフェやっぱり使います?」

F「うん。インターネットカフェのLANを間借りするって結構良い繋ぎ方でしょう。どこの本にも載ってないけどね。でも、WinCEだと結構ダメな所がある。インターネットカフェのLANが普通にPloxyで繋がっていれば良いんだけど、インターネットカフェの半数くらいはダイアルアップを共有するソフト使ってるから。そういうの使われると、CEマシンだとお手上げなんだよね。」

U「ははあ。で、そう言う時どうするんですか?」

F「インターネットカフェの回線そのまま借りるとか。」

U「え?だってインターネットカフェの回線って…ほかの人使ってるじゃないですか。」

F「全部のマシン落とさせて。んで、回線借りるんだけど、その再にパスワード、IDなんか平気で教えてくれちゃうんだよね。」

U「日本だったら信じられないですね。」

F「確かに。こっちの人やさしいよね。あとね、現地のプロバイダーに直接行ってみたり。現地のプロバイダーのLANに直接接続させてもらって。やっぱりプロバイダーだからしっかりしていて、CEマシンでもすんなり繋がって。」

U「日本だったらセキュリティーがどうのこうのって言って、絶対入れさせてくれないですよね。」

F「ビルにも近づけないでしょ。だって彼らから見たら、僕ら言葉が通じない得体の知れない外人でしょ?」

U「うん。絶対ムリだ。そう言えば、私達みたいに世界の電話プラグの変換アダプターとか持ってます?」

F「いや、俺は持ってないよ。だって、電話屋でFAXついてるところって結構あるから。FAXって日本のメーカかアメリカのメーカの物しか出まわってないから、必ずRJ-11(日本の電話コネクター)なんだよね。それでつながん無い時は、ミノムシ(クリップ)で。」

U「ミノムシって大丈夫ですか?」

F「昔はテスターとか持ってた。電話線って必ず50V来てるからそれをチェックして。そもそもプラグがRJ-11じゃないときはテスターしか方法がないし。電話分解して繋いだり、壁のカバーはずして繋いだりしたな。」

U「なるほど。なんか絶対繋ぐって言う気迫を感じますよね。」

F「うん。今はLANで繋がんなかったらRJ-11で。それで出来なかったら諦めるけど。」

U「そう言えば、機材って何もっています?」

F「カシオペアと、モデムカード2枚、スマートメディアリーダカード、ニッケル水素の充電器とデジカメ。後、コード類かな。」

U「そう言えば、何でカシオペアなんですか?」

F「ハードディスクって振動とか弱くって怖いから。現にリブレットとか良くハードディスク壊れるし。あと、ACアダプター持ってくるのイヤだから。CEだったら電池で動くしね。可動部分が無いって言うのはやっぱり強いよ。」

U「あと、軽くてよさそうですね。でも、デジカメで取った画像ってCEマシン上だと上手く確認できないじゃないですか。どうしてます?」

F「一番ロークオリティーでとって。50KBくらいだからそのまま上げてる。」

U「ははあ。まあ、50KBくらいだったら許されますよね。あと、ニッケル水素の充電器は220V対応?」

F「うん。東芝が作ってる奴。ワールドボルテージ対応の充電器ってこれしかないからね。」

U「それ良いなあ。俺、出かける前にヨドバで探したんだけどみつからなくって。今使っているデジカメすごく電池食うんだよね。なんか、3日使うともうダメって感じ。電池買わなきゃいけなくって。俺も欲しいなあ、それ。」

F「俺も、秋葉原一日中探したよ。で、散々探した挙句LaOXにあったんだ。(笑)」

U「そう言えば、情報ってどうやって入手してます?」

F「NIFTYのフォーラムで。でも、彼らの情報ってヨーロッパ方面が多いからね。」

U「僕もそのフォーラムが書いた本読んだんだけど、こっちの情報って一寸しかないですよね。」

F「確かに。でも、南米は問題無い。アジアも、ヨーロッパも。アフリカはわかんないけど…。現地のJAICAとかのオフィス行ったりして頼めば大丈夫じゃない?」

 藤井さんの言葉の端々からは、今まで一生懸命繋いできた事に裏打ちされた自信が感じられました。現地のプロバイダーに行って直接交渉したり、JAICAに行って直接交渉と言うアイデアを出して来たりと、私だったら「それはダメだろう」と諦めてしまうような事でも希望を失わず、接続できる可能性を追求していく姿に海外モバイラーの真髄を感じました。

 つながらそうなところで繋げるのに苦しみを見出すか、楽しみを見出すか、諦めてしまうか。本当に海外モバイルを楽しむのであれば、その中に楽しみを見出していかねばならないと教えてもらった気がします。

 藤井さん、ありがとうございました。

モドル