「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
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テキーラの原産地を見る 99.9.02
Hola!! Tequila!!(オラ!!テキーラ!!) オラ、ゴクウ!!ということで、メキシコだったらテキーラです。XX(ドスエキス)とか、コロナとか言うビールも有名ですが、やはりメキシコはテキーラです。
5年ほど前のことですが、ウメは数人の悪友とともに乗鞍岳にテキーラを飲みに行きました。数人の悪友はみんなバーテンだったのですが、そのうちの一人がその理由としてこう言う話を聞かせてくれました…。
A関は、とにかく腑に落ちなかった。
どうして「テキーラ」が、世界各国で「強い酒の代名詞」のように認識されて いるのだろうか。 ジン、ウォッカ、ラム、ウィスキーですらアルコール50度から60度はザラ にあるというのに、テキーラに至っては、40度しかない。 さらに55度以上でのテキーラの蒸留は法的に禁止されているのだ! (スコッチウィスキーの場合でも86度くらいに蒸留しているのに) なのにどうして、「火の酒 テキーラ」?
このことに触れている書物も見たことがないし、どうにも不思議。 その疑問が、ある日突然、氷解した。
客 「最近、メキシコに行ってきたんだけど、現地の人達と ビール1杯飲ん で、階段を駆け上 ったら急に、足がグラッときちゃって・・・。」
A関 「 へぇ、急に回っちゃったんですか。 やっぱり、高度のせいですかね・・・!」
んん・・・これだ!
国際流通が未発達だった頃、地酒はその土地でしか飲めないもの。異国からやって来て慣れない高度で飲むテキーラは、さぞ強く感じたことだろ う。しかも、一気呑みが御作法だったりして・・・。 そんなもんで、偉い目に合わされた旅行者達は、 それぞれの自国に帰って、その強烈さを説いてまわる。 かくして「 火の酒 テキーラ 伝説」 が 各地に広まったのではないか。
ってことは、こんな平地の日本に在って「このテキーラ、ちょっとザラッと甘 く感じるね」なんて、会話はナンセンス! 高度が違えば、強烈な火酒に変わるのかもしれない。 我々はテキーラを味わう資格のない高度にいるのかもしれない。 酸素濃度が薄くなれば、血流に影響し、脳にも変化が起こる。そうなれば、 味覚だって変わってくるのかもしれない。ちょっと甘く感じたテキーラも、ド ライでシャープな切れ上がりのテキーラに感じるのかもしれない。
そこで早速、それを検証すべくメキシコに飛びたいところを、あえてお手軽な 乗鞍岳山頂 3026mに登ってテキーラ人体実験。結果はご存知のとおり。 でも、ドライでシャープな味になったことは事実!つまり成功。そんな結果に 甘んじることなく、どうせ やるなら やっぱり 日本一。 富士山頂テキーラに挑むも、全員高山病。頭ガンガン、寒さにガタガタ。 テキーラを口にするも、味の判定ができるような冷静な状態になく、失敗。(以上文責:バリースタ荒関氏)
言うわけで、テキーラは私にとっては非常に思い入れの深いお酒でありまして、グアダラハラのすぐ近くにテキーラ村があると聞いた時からもう行きたくって仕方がなかったのでした。
テキーラ村はグアダラハラから、2時間ほどバスで走った所にある小さな村でした。テキーラ村の観光資源&工業はすべてテキーラ頼みなのだろうなあ、と思わせるほど村中にテキーラおよび、テキーラの原料となるサボテンのマークがあり、いやがおうにもテキーラ気分を盛り立てます。
これが、テキーラの原料になるサボテンです。名前は教えてもらいましたが忘れました。このサボテンは3年ものらしいのですが、テキーラの原料として使用するには10年間ほどこのサボテンを育てる必要があります。 |
テキーラは原料のサボテンの付け根のところだけ使用します。上の写真の四方八方に伸びている葉っぱはすべて捨ててしまうか、石鹸か何かに再利用されます。
付け根を切り取ったサボテンをこの写真にある圧力釜で8から10時間ほど蒸します。10年もかけて育つサボテンなので、付け根のところはとにかく硬く、重い(100KG以上)ので、蒸すのに非常に時間がかかります。 この写真は、蒸し終わった後、これからジュースを搾り取られようとしているところです。 |
搾り取られたジュースは発酵タンクへ、絞りカスはレンガや堆肥などとしてリサイクルされます。
これがサボテンジュースが発酵しているとこ。プルケと言います。テキーラジュースに酵母が投入され、30時間くらいこのタンクの中で発酵します。 テキーラジュースは非常に甘い(糖分)ので、酵母が入れられるとすぐにアルコール発酵(糖分->アルコール)が始まります。 この写真は発酵が始まって24時間目くらいのものです。 |
この、発酵が終わると、上を覆っている泡をいったん取り除き2次発酵をさせます。2次発酵にどれくらい時間をかけるかは分かりませんでした。
2次発酵の後に、この蒸留釜で蒸留します。蒸留によってアルコール度を高め、不純物を取り除きます。蒸気を冷却し、もう一度液体に戻すとテキーラの出来あがりです。 テキーラは、まったく置かないもの、ワインやウィスキーのように樽に入れて1から6ヶ月程置くもの、1から5年置くものの3種類があり、この工場では前述の2つを作っていると言うことでした。 |
その後、待ちに待っていたテキーラの試飲がありました。6ヶ月ものと、一年もの、その他テキーラを使ったリキュール類を試飲させてくれました。
6ヶ月ものより、一年もののほうが当然のように美味かったのですが、まあ、どれも美味いなあ、と。(^_^)
バリースタ荒関氏のちょっと入れ知恵のコーナー
まず梅ちん夫妻が工場で飲んでいた甘い樹液を醗酵させたも のを、プルケといいます。クセのたっぷりあるワインです。 それを蒸留したものを、メスカルといいます。
じゃあテキーラっていうのは? 実はシャンパンやコニャックと同じく、メキシコ政府の法規制で 生産地の限定があります。テキーラと呼ばれるエリートなメスカ ルは梅ちんのいるグアダラハラのあるハリスコ州、あとミチョア カン州の一部とナヤリット州の一部だけ。その他の地域で作った ものは、みなメスカルです。
また、梅ちんの写真にあったサボテンは、アガヴェ・アスール・ テキラーナといって、これに由来するアルコールを51%以上含 めば、残りは砂糖由来のアルコールでもテキーラとして認められ ます。が、それ以外のアガヴェ(竜舌蘭)を少しでも使うと、メ スカルという名で売らねばなりません。
ちなみに、サカテカス、 ドゥランゴ、サン・ルイ・ポトシでは、アガヴェ・アスールで作 った物をピノスと呼ぶそうですが、さっぱり見たこともありませ ん。 つまり、安酒のイメージの拭えないテキーラですが、実は、 エリートというか、下には下があるという お話でした。
で、日本で売ってるテキーラの90%以上は砂糖などの混ざった テキーラ。メキシコでリッチなアガヴェ・アスール100%が消 費されてるとは、驚き! ちなみにアガヴェ・アスールは江ノ島の植物園やしゃぼてん公園 私の実家などで見ることができます。
高さ10メートルに達する茎が天高く伸びて、50年から100年 に一度花が咲くそうで、数年前、江ノ島でそれが開花!見に行きま した。でも、あの植物園って、そんなに古いっけ?