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インド楽器紹介1-弦楽器- 2001.4.6

 インド音楽はラーガ、ターラと呼ばれる音楽的特徴と共に、その楽器のユニークさでも良く知られています。インド楽器には色々な形態がありますが、代表的には弦楽器、打楽器、笛などに分類する事ができます。

 インド楽器は、特に南インドにおいては演奏する楽器すら演奏家の自由に任せられる傾向があります。南インドでは例えば、素焼きの壷ですらガタムと言う名の楽器になってしまうほどです。ここではそのユニークなインド楽器を分類して紹介していきます。


シタール-音を聞く

 シタールはインド楽器の代表的存在ですが、主に北インドで演奏されていて、南インドで演奏される事はあまりありません。この楽器はインド音楽の代表的楽器ですが、その成立年代は以外に新しく、16世紀項半に原型が出来あがったと伝えられています。

 シタールは全長1.2Mほどの長い楽器で、弦は上下に二層に分けて張られています。弦の種類はスチール弦で、何音階にも渡るミード(弦を引っ張って音程を上げる事)をするために一番メインの弦の下にはなにも弦は張られていません。弦は全部で17本から22本張られますが、その数は流派によって異なります。演奏する時は主に上層の弦を弾き、下層の弦は共鳴弦となります。

 シタールの1番下部の大きな膨らんでいる所はトゥンバと呼ばれ、南瓜もしくは瓢箪で作られています。しばしば上部に反響用の小さなトゥンバを付ける事があります。


タンプーラ

 タンプーラは大きな物は全長2m位、小さい物は全長1m位のサイズの伴奏用の楽器です。この楽器は4つの弦しか付いていず、フレットもなく、ただ4つの音を順番に出すためだけの楽器なので、単体で独奏をすると言う事は、ありません。4つの音は、Pa(ファ)、Sa(ド)、Sa(ド)、Sa(1音低いド)に調弦されます。

 大きな物は声楽の伴奏、音程確保用として使用され、小さな物はシタールや、サロードの伴奏楽器として使用されます。

 この楽器で一番重要なポイントは楽器下部に付いている四角く白い部分のジャワリと呼ばれる所。この部分は弦の音を複雑にする役目を持っており、シタールでも同様の機構はありますが、タンプーラの場合はそれに増して音を複雑にするために細い紐を使用するのが特徴です。


エスラージ

 エスラージはフレットの所がシタールに似た擦弦楽器で、主にベンガル地方(カルカッタがある所)で演奏されています。ただ、現在はこの楽器において著名な演奏家が存在しないため、インド国内でもマイナーな楽器の部類に入ると思われます。

 エスラージは主として使用される弦が4本、共鳴弦が15本から構成されています。主弦となる一番右側に付いている弦はミード(弦を引っ張って音を高くする事)のために、その右側には何の弦も張られていません。

 一番下部の、弓で擦る部分にはサーランギーと同じ様に皮が張られており、より大きな音が出る様に工夫されています。

 音は柔らかく幻想的で、ミードが効いた非常に特徴的な音がします。


サーランギー

 サーランギーは3本の動物の皮から作られた主弦と、30本以上の共鳴弦を持つ非常に弦の数が多い楽器です。これだけ共鳴弦の数が多い楽器を私はこれ以外に知りません。共鳴弦が多くなればなるほど、音はリッチになる傾向にありますが、その半面非常にチューニングが難しくなります。

 サーランギーは北インドではメジャーな楽器の一つで、13世紀から使用されていたとされ、現在ではウスタッド・スルタン・カーン等の名手によって知られています。またサーランギーはタブラソロの演奏の時、よく後ろで小さく、リズムを知らせるために入っている事があります。

 音はヴァイオリンに似ています。


シャントゥール-音を聞く

 シャントゥールは、主に北インドで用いられる楽器です。原産はジャンムー・カシュミールと呼ばれるデリーの北、ヒマラヤの見える所。シタール、サロードなどの楽器と比べると演奏者の数は非常に少ないのですし、ミード(弦を引っ張って音程を上げる事)が出来ないため、それを重視するインド音楽の中ではマイナーな位置にありましたが、シヴ・クマール・シャルマと言う現代の名人がシャントゥールを有名しました。

 シャントゥールは合計で約100の弦を持った楽器で、両手に持ったスティックでそれを叩く事で音を出します。非常に幻想的な音を出すので、聞いていて非常に気持ちの良い楽器の一つです。


サロード

 サロードは中央アジアのラバーブに良く似た楽器であるが、その美しさはラバーブの数段上と思われます。指版には鉄板が被せられ、下部の白い部分は羊の皮で被われてい、鉄板と、羊の皮の対比が美しい楽器です。

 旋律用の主弦は6本、共鳴弦は11本から構成され、一般的にはフレットが無い分、シタールよりも難しい楽器とされています。インド人に聞いても「シタールは何とかなるけど、サロードはねぇ…」と言われる事があります。

 有名な演奏者にアリー・アクバル・カーンがいます。


サルマンダル

 サルマンダルはタンプーラと同じ様に、声楽の伴奏用として使用される楽器です。楽器本体は木で作られ、そこに30本の弦が張られています。

 この楽器はあまりメジャーではなく、実際に演奏した所を見たことが無いので、どういう風に演奏するかはわかりません。


  モドル