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安宿のトイレと風呂 2000.5.4

 いわゆる安宿と言われる所に泊まりながら旅を続けている私達ですが、その安宿に泊まったよと言う事は色々な所で書いたものの、じゃあ安宿って言うのはどんな所なのさ?と言う事はぜんぜん書いてこなかったような気がします。

 安宿と言うのは、当然の事ながら宿の主人がそう思って自分の宿をそう呼んでいる訳ではなく、ただ旅行者が自分の国の物価と比較すると大幅に安いと言う事から発生した呼称です。安宿の実態は日本で言う民宿みたいな所が圧倒的に多く、物価の安い所だと1つ星や2つ星のホテルも安宿の定義の中に入ります。


私達が泊まった安宿の中で最高に良かった所。1泊1人250円でTV付き

 安宿の第一の利点はなんと言っても宿代が安い所。(あたり前ですね(^^ゞ)安宿の宿代は国によって違いますが、私達の泊まってきた宿の場合大体1$〜10$までの範囲に入ると思います。物価の高い国の場合ですと、一番安い宿が30$とか言う所もあり、確かにそれも安宿なのかもしれませんがちょっと安宿と呼ぶには厳しいかもしれませんね。

 まず、その値段を聞いて良く言われるのが、「そんな安い所に泊まって大丈夫なの?」と言う事。これは問題のある宿と問題のない宿があります。実は安宿において高級ホテルによくある鍵が1個しかなく、フロントで合鍵を持っているような鍵のついた部屋は結構危険で、ダイヤル鍵でいいから自前の鍵を付けられる所がとにかく安心なのです。旅行者自前の鍵を破壊してまで部屋に入るアホはそうそういませんから。ですがフロントで合鍵を持っているような場合、不在時に勝手に従業員が入る事も可能な訳であんまり安心は出来ません。

 次によく言われるのが、「そんな所汚いに決まってるじゃない」と言う事。これは、確かに汚い宿もあります。ですが、汚いと言っても大概は設備が古いと言いかえられる所ばかりで、床にゴミがおちていたり、便器に前の人の残りかすが付いていたりと言う事はまずありません。時々、床に前の人の髪の毛が落ちている事や、ゴミ箱が掃除していない事がありますが、そんな所でも特に問題はありません。どんなに安い所でも、人が安心出来る位のきれいさはあるものです。

 安宿には大きく分けて2種類の部屋があります。1つは風呂、トイレ付き。もう1つは風呂、トイレ無し。当然値段は前者の方が高くなりますが、部屋の綺麗さはかわりありません。また、南米ではしばしば断水が起こる場合がありますので、それを考えて風呂トイレ無しを選んだ方が幸せな場合もあります。エコノミー派な(ケチとも言う…(^^ゞ)私達は風呂トイレのあるなしに安い方を選んでしまうのですが…。

 高級ホテルだったら世界中どこでも、横になって浸る形式のバスタブが付いているのでしょうが、安宿では風呂にバスタブが付いている所はまずありません。それどころか、暖かい地方だとホットシャワーすら無い所も多いのです。

 最近では寒い地方ではなぜかどこの安宿でも「温水シャワーあり」と書いてあります。宿によっては、あまりにも温水を強調したいがために「Alojamient(民宿) DuchaCaliente(温水)」みたいな感じで書いてあって、「おいおい君のホテルの名前は温水ホテルかい?」と突っ込みたくなる様なものまで存在します。

 それだけ書くと言うのは要は温水シャワーが贅沢品な訳なのですが、ぜんぜん金のなさそうな安宿がどうして温水シャワーシステムを入れられるんだろう?と最初は不思議がっていたものです。

 確かにまともな温水システムを入れている所もあるのですが、実は大概の宿が電気温水システムと言う奴を使っているのです。この電気温水システム。写真を見てもらえば判るように、シャワーのシャワーヘッドに取り付ける形式のモノなのですが、実はこれがクセもの。

 まず、このシステムの一大欠陥は「感電する」という所にあるのです。ある日の事、私がシャワーに入っていたら、なんか頭がぴりぴりするんですね。なんだろうなぁーーーと思ってそのまま入っていて、おもむろに頭を洗おうとして手を頭の上に上げたら手がぴりぴりする。私、その時はすごく驚いて「ヒィ!!」とか言ってしまったのですが、これって感電していたんですね。ちなみに南米の電圧と言うのは基本的に220Vな訳で、日本よりもぜんぜん危険度は高いのです。正直、「ああーー死ななくって良かった」と思いました。

 また、シャワーヘッドに取りつける機構からして大体想像がつくと思うのですが、この機械に来るまで水は水のままやってきます。この機械、220V 4400Wとかいうとんでもない電気を食う割にはぜんぜん「あったまらない」のです。暖かいお湯を浴びようとすると本当にちょろっとしかお湯が出て来ません。

 まぁ、寒い地方を旅行しているときはそれでも温水があった方が当然良いわけなのですが、「24時間ホットシャワー」と書かずに「シャワーヘッドタイプ電気温水器使用」とか書いてくれた方が100倍助かるってもんです。

 そして、便所。便所は南米においてこれと言った変化はありません。インドやタイだったら手でケツを洗ったりしてすっきりするのですが、南米では日本と同じような普通の水洗便器を使っています。

 南米の便所(これは安宿でなくても)は基本的にトイレットペーパーを便器に流してはいけません。便所にはどこでも横にカゴが置いてあってその中に使用済みのトイレットペーパーを入れる様になっています。水圧が低いため、そうしないとすぐにトイレが詰まると言われています。

 また、なぜか安宿の便所には便座が付いていません。本当にことごとく安宿のトイレには便座がないのです。最初見た時は「便座だけ持って行っちゃう人が居るんだろうか?」とか、「便座があるとみんなうまくトイレ出来ないんだろうか?」とか、「デブが座った時に便座が壊れないようにあらかじめ外してあるんだろうか?」とか、色々考えました。

 結局その真相は今だもって謎なのですが、小説家の椎名誠氏によるとロシアのトイレにもことごとく便座がないそうなのです。

 誰か、真相を教えて下さい。

モドル