エクアドルの不思議な果物 2000.5.31
とうとう、キトで6月を迎えてしまいました。日本を出発してから既に9ヶ月目。本来の予定だったらエジプトあたりに居なければいけないのですが…。ですが、旅とはずるずる長くなるもの。長期旅行者が1年で旅を終わると言って、本当に1年で終わったためしはありませんし、きっとそれで良いのでしょう。ゆっくりする事は旅の重要なエッセンスの1つだと思いますし。
さて、長居してしまったエクアドルには私達の見た事のない果物がいっぱいあります。始めは「なんだこれ?見た事ない果物だなぁ。」と不思議がっていたのですが、長居するうちにいつの間にか「またこれかよ。よくある果物だなぁ。」に変わってしまいました。
ですが、よく考えてみますとそれらの果物は見た事はあっても、どんな風に実るのか、どんな風な味がするのか、中身がどんな構造をしているのか全然知らないのです。例えば、ペルーで「インカのトマト」と呼ばれ、ここでは「トマテ・ドゥルセ(甘いトマト)」と呼ばれている物は本当はどんな味がするんだろう?と、ある日すごく気になってしまい、夜も眠れないような、大好きな彼女に会いたいのに拒否されているような、そんな気持ちになってしまったのです。と言うことで、スーパーに行って、見た事ない果物を全種類買ってきて、試食してみました。
グラナディーリャ(Granadilla)
また食べたい度:★★★★☆(4)
グラナディーリャはペルー、アルゼンチンを除く中南米諸国で食べられている果物。果物なので、皮は柔らかそうな気がしますが、皮は結構固く、爪で割れ目を入れて中を食べます。
割った中は、透明なハチの子がたくさん入っている様でもあり、また葛粉を小さなダンゴ状にまとめた和菓子の様でもあります。そのハチの子、もしくは葛団子の中には小気味良いパリパリとした歯ごたえのある黒い種が入っています。
グラナディーリャは、中のハチの子状のモノをそのまま種ごとエイヤ!!と食べる食べ物。食べてみるとつるっとした食感と、甘い味があり、その後に種が出てきます。グラナディーリャの種は問題なく食べられるので、おもむろにその種を噛み砕くと、ちょっとせんべいの様な触感がして楽しいのです。
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甘いトマト(Tomate dulce)
また食べたい度:★☆☆☆☆(1)
スペイン語名トマト・ドゥルセ、日本語に直訳すると甘いトマトと呼ばれるこの果物は、ペルーのインディヘナの間ではトマト・デル・インカ、インカのトマトと呼ばれています。
このトマトは通常私達が親しんでいるトマトとは全く違い、外側はそんなに柔らかくなく、内側は黄色い果肉と、その中に黒い種があり、種は赤い色をした粘液質の液体に覆われています。
エクアドルでトマトジュースを注文すると、大体このトマト・ドゥルセ・ジュースが出てくると言われていますが、私達はあんまり見た事がありません。ただ、私達が購入する時にエクアドル人にどう食べるのかと聞いた所、ジュースにするんだと言う回答が帰って来ましたので、きっとそうなのでしょう。
私達は、ジュースにしないでそのまま皮をむいて食べたのですが、内側の黄色い所は非常にすっぱく食べるには厳しい味。ただ、内側の粘液質部分&種はそんなにすっぱくなかったので、ジュースにしたらそこそこ美味しく頂けるのでしょう。ですが、私はもういりません。
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ナランヒーリャ(Naranjilla)
また食べたい度:★☆☆☆☆(1)
スペイン語でナランハと言えば、オレンジの事を指しますが、ナランヒーリャと言うのはどう訳せばいいのかちょっと分りません。ただ、なんとなくオレンジ系の物体な気がします。
「そうか、オレンジの親戚なんだな」と思ってこれを買って、オレンジの様に食べようと思ったのですが…大間違いでした。まず、外見はまだ熟し切ってない柿にそっくり。皮は、爪を入れると割れ、中に黒い種が入っています。
食べてみた所…非常にすっぱく、そのまま食べるには厳しいモノがありました。きっともうちょっと熟してから食べるか、なにかの料理に使ったりするのでしょう。
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甘いきゅうり(Pepino dulce)
また食べたい度:★★★★★(5)
ペピーノ・ドゥルセ、甘いきゅうりと呼ばれるこの果物は、中米では全く見かけず、南米に入って始めて見ました。
直訳すると甘いきゅうりですし、外側の皮は紫色だしと言うことで、奇妙なモノだと思ってずっと今まで敬遠していたのですが、試してみたらメロンに非常にそっくりな味でとても美味しく、ビックリ。
皮は、手で剥けそうな感じもしますが、中が結構柔らかいので、手で剥くにはちょっと辛く、なにか刃物で剥いた方が良さそうです。皮を剥くと、中身は薄黄色をしていて、汁気たっぷりです。
食べてみると、中に未発達な白色をした種がありますが、メロンのそれよりもまだ柔らかく、そのまま食べても全く違和感がありません。味はメロンに非常にそっくりですが、ちょっと青臭い感じもします。
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グアナバーナ(Guanabana)
また食べたい度:★★☆☆☆(2)
グアナバーナの大きさは大体子供の頭位。非常に似た果物でそれより小さく、手のひらに納まるくらいの果物がありますが、そっちの方はチリモヤと呼ばれて区別されています。
グアナバーナは、見た目外側がちょっとごつごつしていたり、トゲが出ていたりしますが、触ってみると結構柔らかいもの。重さは1個、2Kg位です。
グアナバーナの中身は白色をしていて、さながらランブータンの中身の様な感じ。中はメロンの様に塊でまとまっている訳ではなく、外側のトゲ1個につき1個の黒色の種があり、その種のまわりに果肉が付いています。食べる時は、その果肉単位で分かれるので、手で小さくちぎって食べます。
味は…美味くも不味くもないと言った感じで、2度目はあまり食べたくありません。白い果肉はあまり汁気もなくぼそぼそしていました。ただ、ペルー在住の人に聞いた所、私達が食べたのはシーズンでないものらしく、シーズンになればもっと美味しくなると言っていました。
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サポテ(Zapote)
また食べたい度:★★★☆☆(3)
サポテの大きさは、大体手のひらに収まるくらい。見た目よりも結構重く、ずっしりとした重量感があります。
サポテの外側は、がさがさした感じで、お世辞にもあまりおいしそうな感じはしません。へたも非常にしっかり実にくっついていて、手では取れません。
食べる時は、ナイフで半分に切って、スプーンですくって食べるのが一般的なようです。中を切ってみると非常に鮮やかなオレンジ色ををしていて、見た目で食欲をそそります。味は、非常に柿に似ていますが、柿のような渋さはなく、柿よりももうちょっと甘い感じ。サポテの触感も柿に似ていますが、繊維が結構多く、食べるのにちょっと苦労します。
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