「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

アマゾンで古代魚を食う 2000.7.14

 先日、5億年前から生息していたであろうと思われる、アマゾンの古代魚を食しました。なんか、体は全て非常に固く大きな鱗で覆われており、色は黒。一見した所、ステルスみたいに見えます。


斜め上から見る。どう見ても古代の魚。これを美味そうと思うには努力がいる。

 口は前ではなく、下に付いていて、地面を這いながら色々な物を吸い込むのに適した吸盤状の口。口の中に指を入れる と、歯はなく、ぬるぬるしていてなぜか不思議と嬉しくなっちゃう感触でした。口のまわりに短めのぬるぬるした髭が生えて入る事もなぜか嬉しい気持ちを一層引き立たせてくれます。

 この魚の生命力は非常に強く、捕獲してから空気中にほおっておいても、5時間以上は楽勝で生き続けます。魚市場で買って来て、バケツに放してみたら嬉しそうにバケツの中で動き回って私達をビックリさせる始末。採れてから魚市場に並んで、私達に買われるまで多分3時間から5時間。炎天下をビニール袋に入れられてぶん回される事3時間。それでも、この魚はまだ生きていたのです。呆れるほどのパワー。呆れるほどの生命力。日本で流行る次の健康食品はこれだ!!と頷かせる生命力です。

 そんな生命力がありすぎ、かつ博物館に入っていそうな魚を食うのは勇気がいりましたが、生命力の強い物は健康に良いとばかり、とりあえず賞味することに。解体しようと思って、エイヤとナイフを体中に突き立てますが、全くナイフが通る気配はありません。鱗を剥ごうとしてもまったく剥がれそうな気配はありません。私が見た魚の中でもピカ一のしぶとさです。仕方ないので、順当に鱗を取るのをやめ、唯一鱗がなくナイフが通りそうな腹を攻める事に。それでも結構な固さでしたが無事、腹にナイフが通りました。

 次に、内臓を取ろうと思ったら…そこに入っているのはヘドロのみ。どうみてもまともな胃や腸がある様には見えないのです。魚が腐って腹から腐敗。その結果、腹の中がジュース状になっている訳ではなさそうです。だって、つい三時間前まで生きていたんですから…。この時点でみんなの腰は引きまくり。形はステルス、腹の中はヘドロだらけ、鱗は取れない、黒光りしていると来たら誰だって食欲をなくします。

 でもなぜかウメだけはとても嬉しそう。ウメだけが「こんなのなかなか食えないよ」とか、「人生に一度は古代魚を食わなきゃ」、「これを食ったらあと5億年は生きられる」とか色々言いますが、火に油状態で更にみんなの腰はひいて行きます。K曰く「ウメちん、いつも変な物ばかり食いたがるけど、美味しかったためしないじゃん。だって、あのヒヨコが入ってる怪しい卵も美味しくなかったし、今日の変なアイスだってまずかったよ。」と責め立てます。面目ナシのウメです。


横から見るとこんな感じ。背鰭が2つあるのが目をひく。

 そこへ現れたのが援軍ブラジル人。このままでは食えない!!と危機感を持った私はブラジル人に「これっておいしい?」とききました。ブラジル人曰く「めちゃめちゃ美味いヨ」との事。「どうやったら食える?」との問いに、「焼いても、煮ても」と答えるブラジル人。イエーーー。形勢大逆転。とりあえず圧力鍋で煮てみる事に。そうそう、その時、ピラニアも一緒に圧力鍋で煮たのですが、かわいそうなピラニア君はすでに出汁扱い。「ピラニアなんて普通の魚イイヨ、古代魚食おうぜ。」と言うウメ。古代魚の前では世界に名だたるピラニアもカタナシです。

 そして、出来あがり。味付けは日本風に味噌とショウガで攻めてみました。食ってみると…超美味い!!ピラニアは独特のにがみがあり、小骨が多いこともあって非常に不評でしたが、古代魚は煮る事によって、あれほど固かった鱗も触れば取れる位になり、非常に簡単に食せます。味は淡白、しかし油は十分にのっていて、小骨はほとんどナシ。皆さんも、熱帯魚屋さんや、水族館でみかけたらぜひ1度食べてみてくださいな。

モドル