「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
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k日記ペルー編 2000.10.27(金) まだ、寝ている内に牛次郎がガクンと動いた。「ハテ?」と顔を上げると横にはカラッポの寝袋が転がり、運転席にうめちんが座っていた。朝日は、まだ登っていなかった。どうしても今日中にリマにたどり付きたいうめちんの気持が彼を目覚めさせたのだろう。そして、リマに向けて走りだした。 喧嘩さめやらぬ私とうめちんの間には会話はあまりなく、二人とも、もっぱら青山さんとばかり話しをしている。牛次郎の中は、今考えると変な空気が漂っていたに違いない。乾いた空気が湿り気を帯び、風が寒さを運んで来る。海岸を見るとこの地方特有の潮を含む霧が立ち込め、太陽が赤く丸くくっきりと空に浮いていた。異様な光景だった。 すっかり暗くなり、リマの夜景が目にまぶしく、交通量の多い地域に差しかかる。高速に乗り、流れに乗って走る牛次郎。が、しかし、流れに乗っていてはだめだと気が付いたときには、時すでに遅く。ちょっとした隙間に入り込んでくるペルー車に方向指示も出さず、無理やり頭を突っ込んでくるペルーバスにブレーキの利かない牛次郎は翻弄される。いつしか、牛次郎は渋滞の真ん中に・・・でも、先に進もうと頑張るペルー車は、4車線の道路を6車線で走り、それでも足りず、砂利の路肩をブンブン飛ばして行く。横断歩道を渡っている通行人なんてなんのその、轢かれたほうが悪いと言わんばかりにクラクションを鳴らし追い立てる。 そして、交差点では、信号が青になれば、進まなくてもどんどん突っ込んでくる。赤に変わっても進むはずもなく、すでに交差点の様相はなく、ぶつからないのが不思議なくらい混沌と騒乱の嵐。そんな中、後車のクラクションによる声援を受けてやっと前に進む牛次郎がついた先は、道端でゴミがボンボン燃え、廃墟が建ち並び、薄汚れた子供達が道端で遊ぶスラムだった。いけない所に来てしまった・・・再び、地獄の渋滞ゾーンに逆戻り。 馴れとは恐ろしいもの。いつのまにか、路肩を走り、無理やり車線変更をし、クラクションを鳴らしまくっている牛次郎がいた。そして、どうにかこうにか、ポコアポコへ到着。懐かしい顔ぶれが元気に現われた。ホッと気が抜けた瞬間。ただいま帰って参りました。また、お世話になります。 |
2000.10.26(木) |