「天竺」目指して夫婦モバイル放浪 |
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k日記インド編 2001.3.14(水) ガンガーは、穏やかだった。朝のほのかな明かりを受けて静かにたたずんでいる。南米で会った旅人が、久美子ハウス名物「カンコブネ」は、もうなくなったと聞いて、だいぶ残念だなぁと思っていたが、昨日も今日もシャンティさんが朝一番に叫んでいるのを聞いて、なんだかうれしくなった。せっかくなので、起きてボートに乗ることに。 小さな手漕ぎボートに乗りこむと、すーっとガンガーに漕ぎ出した。たくさんのボートがガンガーに出ていた。パーン、パーンと言う音が規則正しく聞こえてくる。ガート沿いで石に布をたたきつけて洗濯をしてる。その脇では、ガンガーにつかり身を清めている人がいる。対岸からは、オレンジ色の太陽がゆらゆらと顔を出す。朝日を浴びて、穏やかな空気が私たちを包む。ガンガーも建物もすべて同じ色に染まる。ここは、特別な場所だと言うことを思い知らされれる。でも、きれいだった。穏やかな気持ちになっていく。 ボートを借りて対岸へ行ってみる。今の時期は、干上がったガンガーの川底が対岸になっていて砂漠のような土地がどこまでも続いている。そんな何もない砂漠に死体が一体転がっていた。ズボンだけをまとったまるまるとした彼は、うつぶせに倒れていた。手足の先はすでになく、数匹のからすが肉をついばんでいる。私たちには当たり前ではない光景も、インドでは当たり前の光景として見えてくる。そして、彼の肉体は鳥についばまれ、川の流れに洗われ、魚についばまれ、消えてなってしまうのだろうか?人間とは、はかなく弱いものだと思った。 月が昇る。ガンガーに月の光がゆらゆらと映し出される。少し霧がかった対岸は、少しだけ岸がぼんやりと見えていた。その先は、闇の世界、恐怖は感じられない。美しく穏やかなものが漂う。・・・三途の川と言うものがあるならば、こんなところだろうか?呆然と眺める。ここは、不思議なところだ・・・ |
2001.3.13(火) |