「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記エクアドル編

2000.11.17(金)

 腹を壊したうめちんとジンマシンがひどい私を置いて、メカニックに行った青山さんが息を切らせて帰ってきた。「車、売れたよ〜。アボガドが早く契約書にサインしろって騒いでたよ。だから、これからメカニックに行こう」なんだよ、アボガドが電話くれなかったんじゃないか、都合のイイアボガドだなぁ。などとぶつぶつイイながら重い体を起す二人。ちなみにアボガドとは、スペイン語で弁護士の意味。すなわち、車を買ってくれた人は、たぶんお金持ちです。

 約束の時間に間に合わないので、タクシーを飛ばす。エクアドルのタクシーは、日本とは比べ物にならないほど安い。初乗り料金が約20円くらいから。大体、市内を15分くらい走ると約100円くらいになる。ここでは、贅沢品に変わりはないのだが、急いでいる時や夜遅い時には大変便利な乗り物。まれにぼってくるのが玉にキズだが・・・

 タクシーから降りると、ちょうどメカニックが修理工場から出てきた所だった。「オーイ」と声を掛けると、少しバツが悪そうな顔でこちらにやってきた。「イヤーコレからお昼を・・・まあ、いいや」とぱっと明るい顔で、こっちこっちと手招きする。修理工場の門をくぐるとなつかしい牛次郎の姿が現われた。あちこち直しているようで、いろんな所が剥がれているがそんなに変わっていないように見える。でも、だいぶ変わっていた。エンジンは一発始動。ブレーキもだいぶ効くし、クラッチも軽くなっていた。また牛に乗れるなんて、感慨にふけっていると突然、メカニックがポケットからドルの札束をポンだし、「確認してくれ」と私達の目の前に突出した。驚いている私達に再び確認する様に促がすメカニック。黙々と札を数える青山さんとうめちん。細かいお金で確かにUS1000ドルあった。ニコニコ顔の3人。その後、4人でアボガドの事務所へ向かう。

 大きな雑居ビルの一室にアボガドの事務所はあった。エレベーターのドアを開くと、アボガド夫人が笑顔で迎えてくれた。事務所のドアをくぐるとちょっと頭が禿げ気味で、腹がちょろっと出た、少し浅黒いおじさんが握手を求めて来る。コレが、車を買ってくれた人か・・・早速、契約書類作成。相手が弁護士なので、私達は契約書にサインをするだけの簡単なものだった。そして、牛と完全にお別れ・・・

 悲しみにひしがれている3人・・・ではなかった。少し高くてもイイから27日まで待たずにスペインに飛ぼうと決めたので、一番近い日で予約を入れてもらおうと日が暮れる中、急いで、旅行会社に向かう。

 閉まる寸前の旅行会社に滑り込み。電話で予約を取ってもらうが電話先でもめている様子。どうしたのだろうか?すると、受話器を手で押さえ、説明してくれた。「20日のコンチネンタル航空で空席があるのだけれど、帰りの席が取れないのよ」だから、チケットを発券できないと言っている。どうやら、この安い往復のチケットは日付け指定のFIXチケットらしい。確実に取るなら、もう少し高いものがあると言っている。それは、一体いくら?聞けば、200ドルも高いじゃないですか。そんなに出せないので、帰りの予約をキャンセル待ち状態にして、取り合えず予約だけにして、旅行会社を出る。「20日に飛べるかなぁ?」まあ、飛べなかったらしょうがないかぁ。

 その足で「牛次郎売れたよ、良かったねパーティー」をささやかながら行なうことに。では、どこへやる?そういえば、今日はまだ昼を食べていなかったよ。中華でも食べようか?と中華屋に向かってとぼとぼ歩き出す。腹が減ったね・・・突如、目の前に電飾光るステーキハウスが現われる。そして、ステーキハウスに吸われる3人。気がつけば、ヒザの上に白いナプキンを掛け、スマしてフォークとナイフを握り、大きな肉の塊に挑む3人がいた。冷たい風が吹きすさぶキトの街。でも、私達は、懐も腹も温かかった。なんか、寒いんだけど幸せだなぁ・・・

2000.11.16(木)