「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記エクアドル編

2000.6.8(木)

 今日こそは、マトリクラを取るぞ!!と気合を入れて陸運局へ向かう。途中、整備工場で車を拾い、こんなに早くに来たのにもう長蛇のマトリクラの列に並ぶ。

 コンコンコンと窓を叩く少女がいた。「セニョール、マトリクラを取るには、この三角反射板と救急箱、そして消火器が必要なのよ」と目の前に反射板と消火器と救急箱を差し出し、高い値段を言ってくる。え、そんなの聞いてないよ。本当に欲しいの?マトリクラの列に並んでいる運転手数人に聞いてみると、必要だと言う。高かったが、必要ならしょうがない。救急箱は車についていたので、反射板と消火器を買うことにした。

  そうこうしているうちにスルスルと前の車が動き出した。どんどん前に進んで行く。陸運局の門が見えてきた。どうやら、いっぺんに20台程の車を駐車場に入れて数人の係員が順番に見るらしかった。どんどん陸運局に吸われて行く車。やっと私達が吸われる番がやってきたと思った瞬間、係員が赤い三角ポールを二つ私達の車の前にポンと置いてどこかへ行ってしまった。要は次の回にまわされてしまったのだ。 ああ、あんなに待ったのに、このまま昼ご飯に突入したらどうしよう。今日もマトリクラ取れないよ・・・肩が落ちる。が、心配は、ご無用だった。1回目の車が駐車場からいなくなったと同時に二回目の点検もすぐ始まった。

 駐車場に乗り入れ、係員が車両の確認をする。まず、ナンバープレートを確認し、車種を点検。そして、エンジンナンバーにカーボンをこすり付けその上にセロテープを張り、よくこすってセロテープをはがす。同様に車体番号も控える。セグンド・バカ名義のマトリクラと比較して、合っていれば無事合格。エンジンの調子や排気量がどうのとか、ブレーキランプがつくかどうかなんて高度な事は一切聞かなかったし、必要だからと先ほど買った消火器や反射板などのチェックはないに等しかった。もちろん、無事通過した私達の車。書類をまとめて窓口へ走る。が、一足遅かった。

 書類を見た窓口の係員「・・・3時に来てくれ。もう、休憩の時間だから」エーそんなあぁぁぁ。いくら言っても無駄だった。泣く泣く、陸運局を後にする。昼を食べて、急いで陸運局へ。 走って、マトリクラの窓口へ並ぶ。

 3つ窓があった。看板にはみんな別々の事が書いてある。大きくマトリクラと書いてあったのでそこに並んで見た。正解だった。よく見ていると私達が並んだ窓口が終わった人が隣の窓口にまた並んでいた。そうか、そう言うことかそれならと、今の列にうめちんを置いて私は、隣の列に並ぶ。よく見ると、代行で並んでお金をもらっている少年がたくさんいた。いろんな商売があるものだと感心している間に一個目の窓口を終えたうめちんがやってきたので交代する。

 そんなこんなで順調に3つの窓口を終了。それから、どこへ?路頭に迷っているとみんな上だ上だと親切に教えてくれる。階段を登り、マトリクラと書いた看板が張ってある部屋に入ると広い空間にたくさんの窓口が並んでいた。どこに並べば・・・うろうろしているとあっちだと指を差して教えてくれる。みな、親切だ。

下の窓口でチェックした書類を窓口に出す。何故か係員がうめちんを見て笑っている。横にいた係員も笑っている。はて?私達笑われることしたかな?なんて不思議な顔をしていると「君達、キトに住んでいるの?」と聞くので「いや、ツーリストだ」と答えると「ツーリストかぁ。で、住所は?」ツーリストに住所なんかあるわけないじゃないかぁと思いながらも「ホテル、スクレ。プラサ・サンフランシスコの近く」と答えると、窓口の係員が全員が大爆笑。

 「こいつ、ホテルで登録しようとしてるよぉ」と腹を抱えて笑ってるやつまでいる。なんか、おかしいか?そして笑いながらも「電話番号は?」そんなもの覚えていないので「知らない」と答えるとまたも大笑いされた。そんなにおかしいかなぁ?それからは、係員が親切に次はココだとにこやかに誘導してくれた。

 そして、マトリクラの紙をもらい、車体に張るステッカーをもらう。出来たマトリクラを配る窓口で待っていると、どこで聞いたのか知らないが「南米を一周するんだって?がんばってくれ。よい旅を」なんて言って来る奴まで現われた。

 ぶっちょう面で出来あがったマトリクラを配る係員。名前を呼んですぐやってこないとすぐ弾いて次に行ってしまう、厳しそうな人だった。なのに、私達のマトリクラだけは、笑って引換証と交換してくれた。「ありがとう、さよなら」と手を振るとたくさんの係員が笑いながら手を振ってくれた。

 マトリクラをパウチしてもらい、ようやく作業終了。ようやく、私達の車になったのだ。

 昨日、約束を破ったカルロス宅に暗くならない内に急ぐ。そして、やっと見つけたカルロス宅は、急な坂道の一番上にあった。おりしも雨がぽつぽつ降って来ていた。道路は、滑りやすい石畳。勢いをつけて登り出す車。タイヤから白い煙を吐き上げてるが、空回り。むなしくすべり落ちる。

 どうしよう?もう一度挑戦。そして、やっと登ったにもかかわらず、今度は、カルロスの家の門が狭く庭に入らない。「もっとこっちからまっすぐ入らないダメだ。もう1回、下から登って来い」と無情のカルロスの叫びに、再び坂の下に落ちる車。そして、再度挑戦。

 でも、同じことだった。一生懸命登ってカルロスの言うととおりの道をたどって門につっこんだが、ガリガリガリ・・・とすごい音を立てて、門を破壊、ドアにキズを作り、庭に到着。「なんだぁー」と叫ぶカルロスをよそに、庭に入れられてよかっとと安堵する私達であった。なにはともあれ無事にカルロス宅に到着したのであった。

 
2000.6.7(水)