「天竺」目指して夫婦モバイル放浪

 
 

 

k日記チリ編

2000.1.25(火)

 パタ、パタ、パタと階段を上がる音が聞こえたかと思うと、開け放なたれたドアの向こうに、白いビニール袋をぶら下げたうめちんが現われた。顔は、笑顔でほころびすぎて崩れている。白いビニール袋は、相当重いものが入っているらしくピーンと下につっ張っていた。ビニールの一部に黒いものが透けて見えていた。

 どうしたの?それなに?と聞くと、ほれとベットに座って本を読んでいた私の膝の上に、白いビニール袋を軽く投げるように置いた。冷たい物が膝に触った。水物らしい。そっと覗いてみると・・・ぷーんと生ものの臭いと共に、黒く水光した生き生きとしたものが見え、そして、下あごを前にウィーーと突き出した銀色の顔が見えた。「どうしたのよ、この鮭!」そう、ゆうに9、10kgはある大きな鮭であった。

 「今ね、玄関先で買ったんだ。いくらだと思う?」こんな大きいの安いわけないと思い「5000ペソ(1000円位)位かな?」と答えると、にこにこして「ミル、セイスシエント!」とスペイン語で答えた。「えーー1600ペソ!!(320円位)やっすいじゃん、なぁんで?」「いやーなんで安いか知らないけど、衝動買いしちゃったんだよね。だって見た感じ今釣ってきた見たいに生きがいいしさ」うんうんと鮭を見ながら、うなずき今日の夕飯のメニューを考え始めた。

 ハラワタの処理がしてあったので、男か女か分からないがイクラはついていなかった。うろこを取ろうと、庭に出ると数秒もしないで猫達が寄ってきて、勝手に鮭に爪を立て食らいつく。悪戦苦闘の末、ようやくうろこが取れた。そして、3枚におろすには使いにくい切れない包丁で格闘。ようやっと参枚に降ろせた時は、うめちんは疲れ果てていた。

 半身だけを使用して大量のご飯が出来た。鮭つくしである。いかんせんしょうゆがもう底をつきかけていたのが残念に思えてならなかった。たらふく食べたが、鮭は、まだ半身ほど残っていた。「明日も、鮭だねぇ。明日は、何作ろうか?」と料理のレパートリーの少なさに頭を悩ませるのであった。もっと、料理本見ておくんだった・・・。

 
2000.1.24(月)